研究概要 |
高速液体クロマトグラフ法におる天然水中の生体分子の分離を行いその検出にUV検出法、蛍光検出法、誘導結合プラズマ発光法(ICP-AES)を組み合わせた複合分析システムを開発した。とくに、ICP-AES検出では40元素同時・時系列測定を可能にし、40元素同時検出クロマトグラフの測定を行なった。測定対象としては、池水、海水中のアルカリホスファターゼ(亜鉛酵素)、カルボキシペプチターゼ(亜鉛酵素)、カタラーゼ(鉄酵素)などの金属酵素、光合成物質であるクロロフィル化合物(マグネシウム含有)、フミン酸様物質などである。金属酵素の場合には池水試料をある程度濃縮し(10〜1000倍)、クロマト分離後、反応管内で基質と一定時間反応させて特異的酵素活性を測定するオンライン酵素活性測定システムも開発した。これによって天然水中の10^<-9>〜10^<-2>gの金属酵素の定量が可能になった。クロロフィル化合物(Chl)では植物葉からメタノール抽出を行った後、逆相クロマトグラフィーによって分離し、蛍光検出およびICP-AES検出(マグネシウム検出)によってChl-a,Chl-bおよびそれらの誘導体の分離定量を行った。天然水中の高分子物質の検索では、限界口過法により試料中の分子量10,000以上の成分を1000〜1500倍に濃縮し、サイズ排除クロマトグラフ法による分離を行なった。検出法としては、有機生体分子の検出に280nmにおけるUV検出、金属成分はICP-AES検出による4C元素同時検出を利用した。その結果、3種類のフミン酸様高分子が検出され、それぞれに特有な金属元素が結合していることが明らかとなった。ただし、高分子の化学形については今後の研究が更に必要である。
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