研究概要 |
本研究は,窒化アルミニウム(AIN)と焼結助剤としての希土類酸化物との相反応を明らかにすることを目的とする。 本年度は,特にAlNーY_2O_3系に着目して,AlN原料特性が相反応に及ぼす影響を把握することを目的として実験を行った。まず,実験装置として高精度の雰囲気制御型高温焼成炉を制作・調整し,所望の焼成条件の達成を確認した。反応条件としては,特にAlN中の酸素が重要因子であることから,AlNーY_2O_3に加えて,AlNーAl_2O_3ーY_2O_3系による相反応も検討した。その結果,相反応は概ねY_2O_3/Al_2O_3(全酸素量からの換算)の比率に応じた反応相の生成が認められたが,その生成状態は必ずしも一様ではなく,複雑な様相を呈した。Al_2O_3ーY_2O_3系相図によると,Y_2O_3/Al_2O_3比の増加に伴って,YAG(Y_3Al_5O_<12>),YAL(YAlO_3),YAM(Al_2Y_4O_9)の3種の生成が認められるが,本実験ではそれぞれが同時に生成することも確認された。このことは,本反応が非平衡にあることによると思われるが,AlN粒子表面のAl_2O_3と添加したAl_2O_3の寄与の違いや,AlNの粒度分布なども微妙に影響しているように思われる。いずれのサンプルとも,1800℃焼結で十分緻密化が達成されたことを考えると,AlN/Y_2O_3界面では共融温度1760℃のYAGの生成が生じたものと考えられる。なお,一連のアルミネ-トの生成については,窒素の存在も考慮する必要があると思われるが,現時点では明らかにされていない。 いずれにしても,次年度以降は改めてこの系についての詳細実験を行い,相反応の挙動を明らかにすると共に,他の希土類酸化物についても同様の研究を行って,AlNー希土類酸化物系の反応機構を解明する予定である。
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