研究概要 |
本研究は,窒化アルミニウム(A1N)と焼結助剤としての希土類酸化物との相反応を明らかにすることを目的とするが,この反応系では酸素の存在が重要な因子となるので,A1N-A1_2O_3-Y_2O_3の3成分について検討した.組成範囲としてはY_2O_3 0-10wt%,A1_2O_3 0-30wt%とし,焼成は1800-1950℃の温度で行った.1800,1900℃では,Y_2O_3添加の有無で反応と焼結機構は大きく異なり,Y_2O_3添加系では液相焼結,無添加系では固相焼結で緻密化することが明らかになった.一方,A1N-A1_2O_3系では出現する相が温度によって異なり,1900℃焼成ではA10N(A1_<23>O_<27>N_5)が,1950℃では27R(A1_9O_3N_7)が生成した.A10N→27Rポリタイポイドへの相転移に伴って,1900℃焼成では冷却の過程でYAG(Y_3A1_5O_<12>)相が,1950℃焼成ではYAL(YA1O_3)相が生成した.このことは27Rの生成に伴いA1_2O_3の反応量が増加するため,液相中のA1_2O_3量が減少し,その結果冷却の過程でYAL相に変換したものと考えられる.微構造は生成する結晶相に対応してA1N,A10Nの粒状からポリタイポイドに特徴的な板状へと変化した.このような反応を通してA1N-A1_2O_3-Y_2O_3系における相反応と焼結性並びに微構造の変化をまとめ合わせて相関係マップを作成した.また,本研究ではこの他ポリタイポイドの生成条件についてSiO_2を添加したA1N-SiO_2-Y_2O_3系でも調べた.その結果,SiO_2の含有量に応じて27R→21R→12H→15Rと変化し,その形態によって焼結性や微構造も異なるなど新しい知見が得られた。
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