研究概要 |
γ線照射物と未照射物の炭素化過程、炭素化物の比較をこれまでX線回折、熱分析、SEM写真を主な手法で行ってきた。今年度科学研究費補助金により流動式比表面積測定装置を購入した。その結果、表面に関する情報が得られるようになり研究の幅の広がりと進展を見た。 1。アセナフチレンとその関連化合物。アセナフチレン、pークオタ-フエニルではFTーIRスペクトルにポリマ-化、分解反応の促進などのγ線照射効果がみられた。アセナフセン及びナフタセンについてはスペクトルに変化がみられなかった。γ線照射効果が出るには反応性の二重結合などの存在が必要である。 2。バレイショデンプンの炭素小球体の生成条件を研究し、γ線照射物を加熱速度60K/minで炭素化する。また470Kでの空気酸化も効果的であった。雰囲気の酸素濃度を変えてγ線を照射し炭素化収率、焼結性と酸素濃度の関連を研究した。炭素化物はマイクロポア-の多い表面構造でありγ線照射により比表面積の増大が認められた。デンプン類については連合王国Brunel大学(ロンドン)のFreeman博士と共同研究を行っている。 3。ア-モンドシェル。スペイン、ALICANTE大学RodriguezーReinoso教授と共同研究を行っている。スペイン産の試料を使用している。γ線照射物には炭素化収率の向上が認められた。又、γ線照射物の溶媒処理をベンゼン、エタノ-ルで行うと、その処理物の炭素化物は比表面積が未処理物の約8倍の300ー500m^2/gと著しい増大が認められた。これは原料から得られる活性炭の収率の著しい増大となる。今後,竹,オリ-ブ種を予定している。 これらの研究成果はInternational"Carbone 90"(7月、パリ),International Symposium on Carbon(11月つくば)で発表した。今後、アメリカ炭素学会の20th Conf.on Carbonでも発表の予定で準備を進めている。
|