研究概要 |
研究は順調に進展し、次のような研究発表を国際会議で行った。 4th International Conference on Fundamentals of Adsorption (平成4年5月 京都市) 1.γ線照射アーモンド殼炭(スペイン アリカンテ大学 F.Rodriguez-Reinoso教授と共同研究)の賦活速度は未照射炭に比べて約二倍早くなる。照射雰囲気が空気中と窒素中でも細孔分布、比表面積に違いが見られた。 2.γ線照射した竹材の溶媒抽出を行うと、水により多く抽出され、比表面積も最も大きくなる。照射量が過大になると材質が脆くなり比表面積も減少する。この他、組成、炭素化収率、比表面積の変化を研究した。 3.デンプン4種類を用いてγ線照射効果と空気処理効果を炭素化収率、比表面積、炭素小球体の生成について比較検討した。空気処理で比表面積は同じように増大したが、収率は変わらず、小球体は得られなかった。 Carbon '92 International Carbon Conference (平成4年6月 Essen市 ドイツ) 1.スペイン酸の空気酸化を受け易い無煙炭(スペイン アリカンテ大学 A.Linares-Solano教授との共同研究)についてγ線照射効果と空気酸化効果を比較検討した。その結果原料炭のTG-DTA曲線の2段燃焼曲線のうち空気処理では高温部が、γ線照射では低温部が変化し、マイクロ孔にも違いが見られた。 2.γ線照射フェノール樹脂(4種類)の炭素化と炭素化物に付いて比較検討した。架橋の少ない種類では収率の増大などの変化が見られるが架橋が多いものは効果が小さい。γ線照射による結合の開裂と生成が見られた。 3.α-,β-,γ-シクロデキストリンにγ線を酸素濃度の異なる雰囲気で80度で照射した。酸素濃度の影響はβ-<γ-<α-、炭素化収率はα-<β-<γ-であった。また焼結性は酸素の濃度の高い方が明らか大きくなった。 4.米デンプン(ドイツ G.Collin博士との共同研究)のγ線照射物も他のデンプンと同じように炭素化収率の増大、焼結性、炭素小球体が見られた。特に小球体は最小のものが得られた。 この他、黒鉛化合物研究会、学振第117委員会、日本吸着学会研究発表会、炭素材料学会年会などで発表した。 21st Biennial Conference on Carbon (平成5年6月 Buffalo市 アメリカ)にγ線照射効果について4件、この研究成果をふまえた新しい研究分野に付いて3件を申し込んで受理されている。
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