研究概要 |
本研究はハロゲン化物や硫酸を担持しない、金属酸化物のみによる安定な固体超強酸触媒の合成を目的とした。H_°値が-14以上の酸強度を有する複合金属酸化物を調製し、しかも500℃以上の高温で使用出来.従来のルイス酸触媒に代わり得るものを目指すものである。 1.水酸化ジルコニウムをオキシ塩化ジルコニウムよりアンモニア水の加水分解により調製し、100℃で乾燥した。これを粉粋して2gを口紙上にとり、メタタングステン酸アンモニウム水30ccをかけてタングステンを吸着させ、乾燥した後空気中で600℃以上の高温で焼成すると、酸化ジルコニウム表面に極めて強い酸点が生成することを見い出した。その後、調製法を検討した所,水酸化ジルコニウムに対して15重量パ-セントのタングステン金属量のタングステン酸水にジルコニウムを浸し、水分除去.乾燥.空気中800ー850℃で焼成したものがH_°値-15までの酸強度を有する固体超強酸となるが判明した。XPShによる表面での分 析によると、タングステンは6価の酸化状態にあり,ジルコニウムは4価であった。X線、示差熱重量分析と解媒活性との関係より,水酸化ジルコニウムを焼成して結晶化させた酸化ジルコニウムにタングステンを処理しても超強酸にならないことが明らかとなった。触媒反応としてはブタン,ペンタン,ヘキサンの異性化,クラシキングを,トルエンのフソ-デル・クラフツベンゾノル化をおこない、成功した。 2,上記の方法をモソブデン酸を使用し、同様にH_°値-14以上の超強酸になした。表面分析により、モソブデンはタングステン同様6価であった。現在.タングステンの場合と同じ反応試験を行なっている。 3.メタタングステン酸アンモニウムの担持を,FeとTiの水酸化物に応用しており、超強酸への可能性が現在出つつある。
|