研究概要 |
1.担持された貴金属複合酸化物の合成と固体化学的挙動 SiO_2に担持された貴金属複合酸化物の単一相超微粒子の合成について、Rh、NiおよびFe等の系で、熱的方法に加えて化学混合法による合成の試みを重点的に行ない、RhNbO_4,RhVO_4,MnRh_2O_4,MoRh_2O_4,NiAl_2O_4,NiTiO_3,NiTa_2O_6,Ni_3V_2O_8,NiNb_20_6,FeNbO_4,FeAl_2O_4,AINbO_4など、多数の担持貴金属複合酸化物の合成法を確立した。 2.触媒作用における貴金属複合酸化物の特徴 これらのすべての複合酸化物系について、その還元・酸化の固体化学的挙動を検討した。複合酸化物の種類により分解温度が2〜700℃の広範囲に分布するが、基本形にはRhNbO_4やRhVO_4の系で確立したSMSI挙動と類似の性質を示し、金属・酸化物相互作用におけるデコレーションモデルの一般性を更に広い範囲に拡張することが出来た。 種々の触媒反応におけるSMSI挙動を検討する中で、幾何学的効果による活性抑制効果のほかに、電子的効果による顕著な活性促進の例(エチレンのヒドロホルミル化)を見出した。また、RhNbO_4のSMSIにおける脱水素活性の促進、MnRh_2O_4およびMoRh_2O_6等の複合酸化物自体が持つ著しい水素化分解活性など、多くの興味深い事実が得られた。 3.メタンの接触部分酸化による合成ガスの生成 CH_4接触部分酸化による合成ガス生成反応については、複合酸化物触媒から離れて、通常の担持金属触媒の金属間比較、担体効果および反応メカニズムの解明および反応の低温化の研究を重点的に行った。CO/H_2の生成が、完全酸化を経たのちH_2OおよびCO_2による改質反応として進行すること、CO_2の活性化を通して担体効果が顕著であること、2段パルス反応による低温化の可能性など、興味深いいくつかの新しい事実を明らかにした。
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