高感度フォト・コロイド系の作製と応用に関する研究

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02453074
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 小門 宏 東京工業大学, 工学部, 教授 (40016358)
• 研究分担者: 星野 勝義 東京工業大学, 工学部, 助手 (50192737) ; 半那 純一 東京工業大学, 工学部, 助教授 (00114885)
• キーワード: 感光性 / コロイド / 化学修飾 / 光凝集 / 画像形成

研究概要

本研究は、粒径0.1ー0.2μmの微粒子の系で、露光によって生ずる凝集性の変化を利用する新規な画像形成プロセスの開発を目的とする。
表面を樹脂被覆した後にアジド基で修飾した酸化アルミナ系微粒子をガラス基板上に塗布して膜表面側から露光し、希アルカリ液で現像することにより、高感度(必要光エネルギ-0.1mJ/cm^2以下)のポジ画像が形成された。その機構を探るための実験に着手し、露光試料の顕微鏡観察によって、現像中表面ににひび割れが生じることを発見し、その部分の現像液に対する膨潤性が変化していることを確認して、この膨潤力が粒子凝集体に歪を及ぼし、ポジ型画像形成の駆動力として働くと推定した。このことから、画像形成には表面エネルギ-を適当な大きさに調節して露光、現像による粒子間凝集力の変化とうまくバランスさせる工夫が必須であると結論した。
酸化チタン系の微粒子については、直接粒子表面にエチレングリコ-ルを化学修飾して試料(平均粒径0.4μm)とし、まず水に懸濁した状態で酸化チタンが吸収する光(紫外線)を照射して、本補助金で購入した遠心沈降式装置を用いて粒度分布の変化を測定した。その結果、粒子の光凝集が起こること、それに伴って0.08μm以下の超微粒子が遊離することが判明した。次に同じ試料を成膜、乾燥して露光したところ、新しく露光部の保水性が大きく向上する現象が観測された。示差熱分析での解析によって、これが水懸濁液系で見られたと同様な変化に起因することが示された。この変化は15W紫外線蛍光灯10秒程度の照射で見られ、従来の光化学反応系に比較して高感度であり、製版その他への応用発展が期待される現象として興味深い。

研究成果

• [文献書誌] JiaーLing Pu,Junーichi Hanna,Hiroshi Kokado: "Photobinding of Colloidal Particles by Means of Surface Modification" Journal of Imaging Science. 32. 129-134 (1988)
• [文献書誌] JiaーLing Pu,Junーichi Hanna,Hiroshi Kokado: "Photobinding of Colloidal Particles by Means of Surface Modification.II.Surface Azido Density and Dispersibility" Journal of Imaging Science. 32. 232-237 (1988)
• [文献書誌] JiaーLing Pu,Junーichi Hanna,Hiroshi Kokado: "Photobinding of Colloidal Particles by Means of Surface Modicfication.III.Influences of Dispersibility and Photoactivity of Azido Groups on the Colloidal Surface" Journal of lmaging Science. 33. 33-35 (1989)
• [文献書誌] JiaーLing Pu,Junーichi Hanna,Hiroshi Kokado: "Photobinding of Colloidal Particles by Means of Surface Modification.IV.Negativeー and PositiveーWorking Imaging by Control of Substrate Surface Imaging" Journal of Imaging Science. 33. 177-183 (1989)
• [文献書誌] JiaーLing Pu,Junーichi Hanna,Hiroshi Kokado: "Photobinding of Colloidal Particles by Means of Surface Modification.V.A Comparison between Particulate and Homogeneous Imaging Systems" Journal of Imaging Science. 34. 207-212 (1990)