研究課題/領域番号 |
02453080
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松尾 拓 九州大学, 工学部, 教授 (30037725)
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研究分担者 |
米村 弘明 九州大学, 工学部, 助手 (40220769)
中村 博 北海道大学, 理学部, 教授 (00117194)
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キーワード | DonorーAcceptor結合系 / 第二高調波発生 / ルテニウム錯体 / スチルバゾ-ル / 単分子膜 / LB膜 / 表面吸着 |
研究概要 |
昨年度の研究成果から、トリスビピリヂンテニウム錯体の両親媒性誘導体を配列させれば二次の光非線形(SHG)材料となる事が判明したので、これを用いて光スイッチングを起こす研究に主力を注いだ。 まず、種々の長さのアルキル基をアミド結合で結んだ両親媒性のトリスビピリヂンルテニウム錯体を水面に展開して水ー空気界面に単分子膜を形成させた。これにYAGレ-ザ-の基本波を照射すると、条件次第で十分にSHGが観察できる事を見いだした。アルキル鎖はn>12であれば条件に適うが、n=18になってはじめて表面圧の効果が明らかになる。単分子膜の下の水温は低いほうがSHGには有利である。 つぎに、上記のルテニウム錯体をポリ塩化ビニ-ルのテトラヒドロフラン溶液とし、水面に展開して厚さ25nmの超薄膜を得た。この超薄膜でも十分にSHG材料として有用であると言う、世界初の成果を得た。水面に接する側のみがSHG活性であり、膜表面に配列したルテニウム錯体が光応答機能を示している事は明瞭である。この膜を積層すると、光応答機能にベクトル的指向性を持たせて加減できる事が分かり、SHG材料を光スイッチング素子に成形する上で有用な知見となった。 一方、光誘起電子移動で生成するラジカル対の過渡吸収スペクトルを受動型光スイッチとして用いる目的で、ラジカル対の動力学的性質を時間分割型電子スピン共鳴法で調べた。ラジカル対はナノ秒領域で生成し、マイクロ秒領域で減衰する事、ならびにラジカル対成分内における電子スピンの相互作用と電子供与体(D)ー受容体(A)間の距離の関係がはじめて定量的に明らかになり、有力なDーA系光スイッチング素子の分子設計指針が得られた。
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