研究概要 |
6,6'ービス(pー置換ベンゾイルアミノ)-2,2'ービピリジンを配位子とすルCo(II)錯体を合成し、酸素の活性化に対する置換基の効果および軸性配位子の効果を検討した。 これらのCo錯体は、配位性の塩基存在下で安定なス-パ-オキシド型酸素付加体を形成する。そこで、トルエン溶液の空気下でのESRスペクトルを測定し、錯体による酸素活性化能を評価した。錯体による酸素活性化能は、軸性配位子の種類によって大きく変化するのに対して、ベンゾイル上の置換基の効果は明確には認められなかった。従って、酸素酸化反応に対する活性の制御には軸性配位子の選択が重要である事が明らかとなった。軸性配位子の効果は、4ージメチルアミノピリジン>4ーメチルピリジン>ピリジン>>アザビシクロオクタンの順であり、塩基性の高いピリジン誘導体を軸性配位子とするほど酸素がより活性化される。しかしながら、活性が高くなると触媒の失活が速くなる。従って、ピリジンを軸性配位子とする系が最も酸化触媒としての性質が優れている事が判明した。 次に、以上の錯体系を用いて酸素酸化触媒としての活性を調べてみたところ、フェノ-ル類からpーキノン類へ酸化反応に対して充分な活性と耐久性を有することが明らかとなった。しかしながら、酸化反応の基質としてオレフィンを取り上げ、エポキシド生成反応についての触媒活性を検討したところ、以上のCo錯体系では活性は発現されなかった。従って、広範な酸化反応に対する触媒活性を実現するには配位子の検討だけではなく、中心金属の検討も必要であることが明らかとなった。そこで、次年度においては、Co以外の錯体系(主にニッケルおよび鉄錯体を考えている)を用いて酸化反応に対する触媒活性を検討することを計画するに至っている。
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