研究概要 |
<1.多鎖多親水基型両親媒性化合物の合成:>___ー種々のジグリシジルエ-テル類を出発物質とする二鎖型ビス(硫酸エステル塩)(I)、ビス(リン酸エステル塩)(II),ビス(スルホン酸塩)(III)各化合物、ならびにNーアシルジエタノ-ルアミンを出発物質とする二鎖または三鎖型ビス(スルホン酸塩)化合物(IV)については、構造と物性の関係を明らかにするための一連の同族体を、それぞれ好収率で合成・単離した。さらに現時点までに、二鎖型ビス(カルボン酸塩)やビスタウリン型化合物、ならびにグリセロ-ルを出発物質とする三鎖二親水基型化合物の合成法をほぼ確立した。 <2.合成した多鎖多親水基型両親媒性化合物の水溶液中での諸物性の解明:>___ー現時点までに一連の化合物I〜IIIについては、アルキル鎖各1本の炭素数が16までの同族体水溶液の基本的界面諸物性を評価した。その結果、まず二鎖二親水基型化合物は通常利用されている一鎖一親水基型に比べ、良好な水溶性が保持された上で、優れたミセル形成能・表面張力低下能を発揮する特徴が見出された。また、アルキル鎖各1本の炭素数は10程度で充分な界面活性能を示し、それ以上炭素数が増加しても物性値にさほどの変化は認められなかった。2つの疎水基ー親水基ブロック間の連結部の構造が界面物性に及ぼす影響は比較的大きく、この構造の選択・設計により起泡特性等の物性が制御できる。化合物IおよびIIIは、石灰石ケン分散力が良好で耐硬水性も高かった。化合物IIは相対的に低泡性であった。化合物IVの三鎖型のものは、対応する二鎖型や化合物I〜IIIに比べ、ミセル形成能が一段と向上することが明らかとなり、気ー液界面吸着効率等の物理化学的パラメ-タについて考察を行った。以上の本研究年度までに実施した一連の化合物の合成と物性の結果は、学術雑誌に4報投稿した。
|