研究概要 |
1.多鎖多親水基型両親媒性化合物の合成:種々のジエポキシド類を出発物質とする二鎖型ビス(硫酸エステル塩)(I)、ビス(リン酸エステル塩)(II)、ビス(スルホン酸塩)(III)、ビス(カルボン酸塩)(IV)、ビス(Nーアルキルタウリン)(V)各化合物、ならびにNーアシルジエタノ-ルアミンまたは1ーOーアルキルグリセロ-ルを出発物質とする二鎖または三鎖二親水基型化合物(VI,VII)について、構造と界面化学的性質の関係を明らかにするための一連の同族体を、それぞれ好収率で合成・単離した。さらに別タイプの二鎖二親水基型化合物として、ペンタエリトリト-ルから誘導されるものの合成法をほぼ確立した。 2.合成した多鎖多親水基型両親媒性化合物の水系での諸物性の解明:一連の二鎖型化合物I〜Vについて、アルキル鎖長各1本の炭素数が8〜16の同族体の水溶液中の界面諸物性を評価した。その結果、これらの二鎖型化合物は、既存の典型的な一鎖一親水基型活性剤に比べ良好な水溶性が保持された上で、優れたミセル形成能・表面張力低下能を発揮することを認めた。いずれもアルキル鎖1本あたりの炭素数は10〜12程度のもので充分な界面特性を示い、それ以上鎖長を伸ばすとむしろ性能の低下を招くことが明らかとなった。二つの疎水基一親水基構造単位間の連結基構造が界面物性に及ぼす影響は比較的大きく、この部分構造の設計・選択により起泡特性や浸透性などを制御できる。化合物I,IIIおよびセッケン型のIVも耐硬水性が高く、前二者はカルシウムセッケン分散力も良好であった。化合物II水溶液は、著しく低泡性であった。2本のオクタデシル基を有する化合物IVの水分散系は相転移温度を示し、光散乱分析により高次会合形態をとることが認められた。さらに、三鎖型の化合物VI,VIIは、二鎖型類縁体に比べミセル形成能が一段と向上することが明らかとなった。
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