研究課題/領域番号 |
02453087
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
持田 勲 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (20037758)
|
研究分担者 |
河野 静夫 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (10038581)
坂西 欣也 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (60183365)
光来 要三 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (50122693)
藤津 博 九州大学, 機能物質科学研究所, 助教授 (00038605)
|
キーワード | 炭素質液晶 / HF / BF_3 / ナフタレン / メチルナフタレン / ピッチ系炭素繊維 / 炭素材料 / 炭素複合材 / メソフェ-ズピッチ |
研究概要 |
超強酸であるHF/BF_3を触媒とすると芳香族炭化水素(ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、ピレン)から、高収率で高純度の炭素質液晶が得られることが明らかになった。生成する炭素質液晶は原料の芳香族炭化水素が、脱水素することなく2〜10量化し、ナフテン水素を極めて多量に含むことがわかった。このため、従来の熱的あるいは溶媒分別により調整された炭素質液晶に比較して、溶媒に対する溶解度が極めて高く、軟化点が200℃以下で溶融粘度が顕著に低い特微を有することがわかった。さらに炭素化の際の収率は80%を越え、高機能炭素材のプレカ-サ-ピッケとして有望であることがわかった。 当該年度は上述の結果からさらに原料の芳香族炭素の骨格構造(環数および短鎖アルキル基)が生成炭素液晶の物性および構造にどの様な影響を与えるか、また同液晶の高性能炭素繊維原料および炭素一炭素複合材のマトリックス材としての利用を試みた。 骨格構造の影響として、単位環数が(アントラセン)から4(ピレン)となると、重合の反応性が高くなり、急激に液晶化が進行し、また同一平均重合度でも、軟化温度が高いことがわかった。一方、芳香環に置換した短鎖アルキル基は、液晶化時にその置換位置が変化するが、原料中の90%以上が液晶中に残留し、このため軟化温度がさらに低下することがわかった。 生成炭素質液晶から炭素繊維を製造するには、安定な紡糸と不融化反応性が速いことが要求されるが、本法により製造した炭素質液晶は、低軟化点であることおよび脂肪族水素を多量に含むことにより、極めて安定な紡糸、迅速な不融化が達成できることがわかった。また高炭化収率であることから、複合材のマトリックスと使用しても高密度化が達成できることがわかった。
|