研究概要 |
マクロリド抗生物質としてオレアンドマイシン(1__〜)を対象物質として選び以下の研究成果を得た。1.医薬品として実用されているオレアンドマイシンから導いたアグリコン部分,8ーメチルオレアンドライドを原料にして,8ーエキソメチレンオレアンドライド,オレアンドライドそのものなど8種のアグリコン類縁物質を有機化学的に合成した。2.オレアンドマイシン生産菌を人工的に変化させ,それ自身はアグリコン部分までの生産能を欠損しているが,適当なアグリコンの添加によりオレアンドマイシンを与える変異菌を1300株の中から8株発見し,単離,育成した。3.上述の合成したアグリコン部分を変異菌とそれぞれ培養した。その結果,9ージヒドロー8ーメチルオレアンドライド(2__〜),8ーメチルオレアンドライド(3__〜),9ージヒドロー8ーエキソメチレンオレアンドライド(4__〜)およびオレアンドライド(5__〜)が生産菌に取り込まれ,天然のオレアンドマイシン(1__〜)を与えるが,9ージヒドローオレアンドライドはオレアンドマイシンに変換されないことが判明した。これらのことより,オレアンドマイシンの生合成の最終工程において,エポキシ環が構築されて後,2種の糖部分が導入されることが明らかになった。また,これらのアグリコン類縁体が生産菌に取り込まれ生産されるオレアンドマイシンの量から,その生合成過程は,2__〜→3__〜→4__〜→5__〜→1__〜の順に変換されていくと推定された。4.天然物と立体化学および置換基の異なる非天然型アグリコンの取り込み実験の準備として,Cー8位あるいはCー9位などに奥素原子あるいはアミノ基を有するアグリコン類縁体を合成した。
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