研究課題/領域番号 |
02453097
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
野崎 一 岡山理科大学, 工学部, 教授 (40025763)
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研究分担者 |
佐藤 恒夫 岡山理科大学, 工学部, 講師 (80183383)
大寺 純蔵 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20131617)
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キーワード | 1ーメトキシ-3ーフェニルチオプロペン / MislowーErans転位 / δーヒドロキシ-α,βー不飽和アルデヒト |
研究概要 |
プロペナ-ル・アセタ-ルCH_2=CHーCH(OR)_2をルイス酸存在下にチオスタンナンで処理すると、PhSCH_2CH=CHーORが生成する。このものは硫黄置換基を結合した炭素でリチオ化を受け、その炭素上で様々な求電子剤と反応し、新しい残基Eを結合する。最後にスルフィド基をスルフォキシド基に酸化したうえで、〔2,3〕シグマトロピ-(MislowーEvans転移)にかけると、目的の共役エナ-ル体ECH=CHーCHOが生成する。一連の合成では、出発物であるプロペナ-ルの3ー位水素を求電子基Eで置換した生成物が得られるので、この反応剤LiーCH(SPh)ーCH=CHORはプロペナ-ルの3ー位陰イオンの等価体といえる。本年度はハロゲン化アルキル、アルデヒドやケトレなどのカルボニル化合物、オキシラン体などについて総合的に検討しこれらがいずれも3ー位炭素で選択的に反応することを確認した。さらには、そのMislowーEvans転位により得られるアルケナ-ル体における炭素間二重結合の立体化学が極めて高いE選択性を示すことを明らかにした。MislowーEvans転移は五員環遷移状態を経由し、この際より嵩高い置換基が擬エクアトリアル位を占める結果Eーオレフィンが優先的に得られると説明されている。事実、二置換体についてはE体が選択的に得られているが、三置換体についてはこれまで選択性はまったく認められていなかった。ましてや、四置換体については検討すらされていなかった。本研究において、アルデヒド付加体は勿論のこと、そのメチルエ-テル体、そのヒドロキシ基をアルキル基に変えたいわゆる二級さらには三級アルキル基を有する化合物いずれもが同様の高いE選択性を示すことから、高立体選択性はヒドロキシ基によって誘起されたものではなくアルキル基の嵩高さによってもたらされたものであることが判った。
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