研究概要 |
生体系で行われる高分子合成は、高分子鎖の一次構造のみならず目的に適った高次構造までを同時に造り上げている。 われわれは、このような高次構造制御をともなった重合法として、溶媒中での重合結晶化に注目して研究している。その一つの成果として、流動パラフィン中でアセトキシ安息香酸を重合することにより、剛直高分子ポリ(pーオキシベンゾイル)(POB)の延伸鎮型ウイスカ-を得ることに成功している。これまでの研究から、このウイスカ-は溶液中での重合で生じたオリゴマ-がらせん転位に基づいてラメラ晶の積層で針状に結晶化し、引き続き固相でのトポケミカルな固相重合によって延伸鎮結晶になると考えてきた。 本研究では、上記のような高次構造制御をともなった溶液重合法を広範囲なポリマ-において実現さすための基礎的研究を行った。具体的には、ウイスカ-合成に成功しているPOBについて、ラメラの積層機構、固相重合機構、用いる溶媒によるオリゴマ-の生成速度と析出速度の関係ならびにその生成結晶形態に及ぼす影響などについて解明した。さらに、これらの結果を基礎にポリ(オキシー2,6ーナフタレンヂイルカルボニル)やポリアゾメチンにこの手法を展開し、それぞれウイスカ-化に成功した。そして、重合と同時に目的に適った高次構造を持つ高分子合法を前進させた。
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