研究概要 |
(1)主鎖キラルバリヤ-化のための不斉環化重合についての検討 ビナフト-ルの3,3'位にMe、Ph、Brを置換したモノマ-1b、c、dは重合条件によって生成ポリマ-の旋光度が大きく変化した。これはビナフチルのキラルなねじれがビニルエ-テル基に伝達され、主鎖に不斉が誘導された結果と考えられる。そこで、ポリマ-の環化構造単位に相当するR,Rーracemo、S,Sーracemo、mesoの3種のモデル化合物3a、b、cを合成し、旋光性、^1H NMRをポリマ-と比較検討した。その結果、(S)ービナフチルからのビニルエ-テルはS,Sーracemoの環化構造へと不斉制御されることを確認し、主鎖をキラルバリヤ-化する手段を見い出した。 (2)位置および立体選択重合による主鎖規制についての検討 光学活性なジエポキシド4からはアニオン重合のみならず、カチオン重合でも主鎖不斉による光学活性ポリマ-5が生成した。これはエポキシドの位置および立体選択的重合によるものであり、生長末端オキソニウム環では一般には開環様式に選択性がないことから、本重合の重合規制は特異である。生成ポリマ-は主鎖の不斉であるが、ラセミのアミノ酸に対して不斉認識能を示し、主鎖キラルバリヤ-化の有効性を確認した。
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