研究概要 |
機能性高分子は分子内に比較的大きな機能性発現基を持つよう分子設計される。われわれは液晶性発現基を側鎖につけたアクリレ-トやメタクリレ-トモノマ-を作り,重合させて液晶ポリマ-を合成し,構造と液晶性の関連を研究して来た。本研究では先ず液晶モノマ-あるいは非液晶モノマ-を配向状態に保ちながら固相重合させる方法を研究した。非液晶モノマ-である末端にベンゾイロキシ基およびアルキレンスペ-サ-を持つ4ー〔ωーメタクリロイロキシアルキロキシ〕ベンゾイックアシドは,4ーnーデカノキシ安息香酸などの低分子液晶化合物を混合すると液晶混合物を形成する。この液晶混合物をフィルム状にして電子線照射し,モノマ-を重合させた。この系では重合収率の向上,ポリマ-立体規則性のアイソタクティックへの移行が起った。次に,メソゲンのフェニルベンゾエ-ト基とアルキレンスペ-サ-を側鎖に持つ4ーヘキシロキシフェニルー4'ー(ωーアクリロキシヘキシロキシ)ベンゾエ-トなどの単独あるいは低分子液晶化合物との混合系の電子線固相重合を行った。液晶(系)モノマ-は収率,分子量に大巾な増加が見られ,ここでも固相重合においてモノマ-の配向が重要な因子であることが見出された。主鎖型縮合系ポリマ-であるスペ-サ-含有サ-モトロピック・ポリエステルから高強度材料を作る際,液晶状態でのポリマ-鎖の配向が重要な因子であることを,フェニルハイドロキノンと1,6ージフェノキシヘキサンー4,4'ージカルボン酸からのポリエステルで確かめた。レチナ-ルは重畳した共役二重結合を持つ化合物で,この光異性化が動物の視覚の第一段階である。レチナ-ルをメタクリル酸メチルーヒドラジドと反応させ,レチニリデン基を3〜14%含有するメタクリル酸メチルーレチニリデンを合成した。その光異性化能などを検討しようとしている。
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