研究概要 |
耐熱性,耐圧性を有するポリイミド非対称膜を製膜し、超臨界炭酸ガスとエタノ-ルの分離に関する研究を行った。初めに炭酸ガスが超臨界状態になることで膜透過量は増加した。これは超臨界炭酸ガスの密度が気体状態に比べ高く、膜へ溶解し易くなったためと考えられる。また炭酸ガスを冷却、加圧することで液化させ膜を透過させた。液化が始まると透過流束は急激に上昇した。液化により膜への溶解度が増大したものと考えられる。 次に高い分離性能を有する膜を得るために、蒸発温度を様々に変化させて製膜し、超臨界炭酸ガスとエタノ-ルの分離実験を行った。その結果、エタノ-ルの炭酸ガスに対する分離係数αは、90℃で製膜した時最大7.5を得た。これは蒸発温度が低温では分離をつかさどる活性層が十分に形成されないため、また高温では膜の材質であるポリアミック酸が熱的に不安定なため膜の一部に欠損が生じたものと考えられる。また操作圧力に対する分離係数はどの温度で製膜した膜に対してもほぼ一定値が得られた。これは炭酸ガス、エタノ-ルとも操作圧力、透過流束の間に比例関係があるためである。 次に溶質にメタノ-ル、イソオクタンを用いて超臨界炭酸ガスとの分離実験を行った。分離係数はメタノ-ル、エタノ-ル、イソオクタンの順で高くなった。これは溶質の沸点と透過係数の間には比例関係があり沸点の高い物質ほど分離係数が大きくなったと考えられる。
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