研究課題/領域番号 |
02453113
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
船津 和守 九州大学, 工学部, 教授 (80037960)
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研究分担者 |
松下 琢 九州大学, 工学部, 助手 (10209538)
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キーワード | 大量高密度培養 / ポリウレタンフォ-ム / 動物細胞 / バイオリアクタ- / 血栓溶解酵素 / 植物細胞 / βーカロチン / ドラフトチュ-ブ付エア-リフト槽 |
研究概要 |
1.今回開発した<剪断応力負荷装置(本補助金で購入した顕微鏡テレビ装置を使用)>___ーを用いて、付着性動物細胞(ヒト腎細胞、ヒト肝細胞)に一定の剪断応力を負荷し、その付着率・物質生産性に与える影響を定量的に検討した。その結果、50%の細胞が剥離してくる剪断応力とその負荷時間は、ヒト腎細胞(293)で0.1Pa×20h、ヒト肝細胞(PLC/PRF/5)で2.0Pa×38hであった。このことから付着性の細胞でもその付着力にはかなり差があることが定量的に示された。またヒト腎細胞の血栓溶解酵素生産は0.05Paの低剪断応力負荷で阻害されることが明らかとなった。 2.上記の結果から弱付着性であることが示されたヒト腎細胞を、従来細胞大量培養用に用いられてきた表面付着型のマイクロキャリア-で撹拌培養したところ、細胞の剥離が生じ培養できなかったが、我々が開発した<ポリウレタンフォ-ム充填層培養装置>___ーでは高密度かつ大量に長期間培養することができた。この結果から本装置が通常の付着性細胞のみならず弱付着性細胞の高密度大量培養にも有効であることが示された。 3.<ポリウレタンフォ-ム充填層培養装置>___ー(培養容量;640ml)を用いた連続潅流培養によってヒト腎細胞の高密度培養を行った結果、25日間の培養で6000国際単位のヒト血栓溶解酵素(組織プラスミノ-ゲンアクチベ-タ)の生産が可能であった。この生産量は、日本人の心筋梗塞初期患者一人の1〜5日分に相当する。またシャ-レ培養の約150倍のスケ-ルアップが達成された。 4.<ドラフトチュ-ブ付エア-リフト槽>___ー内の溶存酸素濃度(DO)を通気量を操作変数としたPID動作方式を用いて制御し、ニンジン細胞の半連続培養を行った結果、細胞の比増殖速度はDーOの減少と共に低下したが逆にβーカロチン生産性は向上し、両者の積であるβーカロチン生産速度の最大値はDO=0.15ppmで得られた。またこの値は回分培養の2.7倍であった。
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