研究概要 |
コ-ヒ-細胞の増殖能およびアルカロイド特にカフェインの生産能、ベニバナ細胞のビタミンE生産能に関して、光の照射効果を明らかにすることを目的として、以下の実験を行い、新たな知見を得た。 1.光照射時間の影響:植物ホルモンとして、2,4ーDを含有するDK培地を用いたコ-ヒ-細胞の回分培養では、光照射によるカフェイン生産の活性化には、最低6日間程度の連続照射が必要であり、11日で最大、それ以上の長期間の照射はマイナスに働き、最適な照射時間の存在が明らかとなった。植物ホルモンの種類の影響も大きく、IBAを含むB2K培地では、光活性化の効果はさらに著しく、暗所での結果の約8倍の約200mg/Lのカフェインの培地中への蓄積が見られた。現在、細胞内でカフェイン合成のどの段階に影響があるのか検討を行っている。ベニバナ細胞の場合には、ビタミンE生産は暗所の約2〜4倍上昇したが、増殖は若干促進された。 2.光照射強度の影響:光強度の増加に従い、コ-ヒ-細胞の増殖速度はほぼ直線的に低下するが、カフェインの比生産性は、10^<18>quanta/s/Lーmedium程度の比較的弱い光で飽和してしまうことが判った。一方、細胞あたりのクロロフィルaの生産は光強度に比例して増加することから、カフェイン生産の光活性化は、光合成のようなエネルギ-獲得機構とは異なったものと推定された。既に波長の影響を検討する装置を作製しており、作用スペクトルから光のレセプタ-の推定を試みている。 3.半連続培養における光照射とカフェイン生産:間欠的な培地の一部交換によるコ-ヒ-細胞の半連続培養により、56日間のカフェインの連続生産を試みた結果、連続光照射条件と比べて、最初の11日間のみ光照射したものの方が高い生産性が維持されることが示された。現在、明暗繰り返しの効果について検討中である。
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