研究課題/領域番号 |
02453131
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松野 隆一 京都大学, 農学部, 教授 (30032931)
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研究分担者 |
中西 一弘 岡山大学, 工学部, 教授 (90026584)
木村 幸敬 京都大学, 農学部, 助手 (70211878)
安達 修二 京都大学, 農学部, 助教授 (90115783)
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キーワード | オリゴペプチド / ペプチド合成 / 酵素合成 / ロイシンーエンケファリン / 必須アミノ酸 / 二相系反応 |
研究概要 |
腸管吸収速度が速いなどの栄養的に優れた機能を有すると考えられるオリゴペプチドを酵素法により効率よく合成する方法を検討し、以下の成果を得た。なお、本研究で合成したオリゴペプチドはいずれも必須アミノ酸を含んでいる。(1)トリペプチド合成の効率化:モデルトリペプチドとしてGlyーPheーLeuの前駆体を取り上げた。まず、ZーGlyとPheOMeからthermolysin(TL)の縮合作用によりZーGlyーPheOMeを合成した。次に、生成物のOMeを除去することなくLeuNH_2との合成をαーキモトリプシン(CT)の転移作用を用いて行い、80%の収率を達成した。なお、第2段階の反応は著しく速く、第1段階の10分の1の時間で完了した。(2)ペンタペプチドの合成:オピオイドペプチドであるLeuーenkephalinの前駆体(ZーTyrーGlyーGlyーPheーLeuOEt)を、構成アミノ酸誘導体よりCT、TLおよびパパイン(PP)を用いて合成する手順を提出し、その実現性を実験的に検証した。本反応系の収率は60%以上であった。(3)必須アミノ酸よりなるジまたはトリペプチドの合成:必須アミノ酸およびそれに準ずるHisを含む以下のペプチドを緩衝液/酢酸エチル二相系で効率的に合成できることを示した。以下のカッコ内は使用した酵素、その作用および収率を示す。(1)ZーK(Z)IーOMe(TL、縮合、100%)、(2)ZーTWーOEt(PP、縮合、73%)、(3)ZーTWVーNH_2(CT、転移、100%)、(4)ZーLFーOMe(TL、縮合、100%)、(5)ZーMLFーOMe(TL、縮合、100%)、(6)BocーH(Tos)VーOEt(PP、縮合、82%)。このように、わずか3種の普遍的なタンパク質加水分解酵素を用いて、多様なオリゴペプチドを高い収率で得られることを検証した。なお、当初予定していた塩基性ー塩基性、分岐鎖ー分岐鎖アミノ酸よりなるペプチドの合成は、収率が十分でないため、次年度において継続して、その効率的合成法の確立を計る。
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