研究課題/領域番号 |
02453134
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂口 守彦 京都大学, 農学部, 教授 (00027187)
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研究分担者 |
豊原 治彦 京都大学, 農学部, 助手 (90183079)
村田 道代 京都大学食糧科学研究所, 教務職員 (30133135)
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キーワード | 肉質 / 死後変化 / 軟化 / 呈味性 / 歯ごたえ / 死後硬直 / 破断強度 |
研究概要 |
代表的な養殖魚であり刺身や寿司だねとして供されることの多いハマチを材料として実験を行なった。すなわち、フィレ-を4℃で貯蔵し、官能テストによって呈味性(うま味、こく、および臭い)の変化を調べたところ、うま味は即殺直後はほとんど検知できず、その後6ー9時間から強度が増加した。こくは、これよりも更に遅れて(24時間以降)発現することがわかったが、臭いの変化は96時間までほとんど検知できなかった。これらの事実は、即殺直後の魚肉がいく分貯蔵したものより風味が劣ることを示している。さらに、官能評価によって肉の歯応えを調べたところ、即殺直後のものや10時間程度貯蔵したものは24ー72時間貯蔵したものよりも、強度は高いことが明かとなった。 次いで、同一の試料について、パンクチャ-テストにより破断強度として求めた肉の歯応えは、即殺後12ー24時間にかけて著しく低下した。しかし、硬直指数から求めた魚体の硬直は、6ー12時間にかけて最も進行が著しく、軟化が進行する12ー24時間にかけては魚体は最大硬直状態のままであった。同様の実験をマダイおよびティラピアでおこなったところ、軟化のパタ-ンには多少の魚種特異性がみられたものの、いずれの魚種においても魚体の硬直にさきがけて、筋肉の軟化が始まり最大硬直中にも軟化は進行することが明かとなった。これまで肉の軟化は魚体の硬直が解けることによるとされていたが、今回の実験結果はこれを否定するものである。 これらの事実を総合的に検討した結果、即殺直後の魚肉(たとえば活け造り)は風味の点で劣るものの、歯応えが優れているという結論を導くことが可能であった。なお、今回の実験によって圧搾法による魚肉の保水性の強さを測定したが、72時間以内では、いずれの試料にも有意な差は認められず、今後の検討を必要とすることが判明した。
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