研究課題/領域番号 |
02453134
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂口 守彦 京都大学, 農学部, 教授 (00027187)
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研究分担者 |
豊原 治彦 京都大学, 農学部, 助手 (90183079)
村田 道代 京都大学, 食糧科学研究所, 教務職員 (30133135)
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キーワード | 遊離アミノ酸 / ヌクレオチド / IMP / プロテア-ゼ / カテプシン / コラ-ゲン / 結合組織 |
研究概要 |
ハマチおよびヒラメ筋肉を氷蔵し、この期間(0〜6月)中における遊離アミノ酸含量の変化を調べたが、目立った変動は認められなかった。一方、呈味性のヌクレオチド(IMP)は徐々に減少した。この傾向はコイ筋肉でもほぼ同じであった。この事実は、これらの魚種ではIMPが肉の風味を決定する要因とも考えられるが、いずれの魚種においても、肉中におけるIMPの閾値1μmole/gを越しているので、IMPは肉の呈味性を左右する因子とはならないと判断した。 筋肉の軟化速度に影響を与えるプロテア-ゼ活性を魚種ごとに比べた。すなわち、マサバ、マイワシ、マアジ、トラフグ筋肉のカテプシンD、中性プロテア-ゼ、アルカリ性プロティナ-ゼの活性を測定したところ、これらの酵素活性には著しい魚種間差がみられた。とくにカテプシンD活性は、マサバ、マイワシで高く、またアルカリ性プロテア-ゼ活性はマイワシで高かった。しかし、これらの魚種について死後の物性変化とこれらプロテア-ゼ活性との相関を調べたところ、両者の間に相関は認められなかった。さらに筋原線維の断片化率と物性変化との関係も調べたが、両者の間に相関性は認められなかったことから、筋原線維を構成する乙帯の脆弱化は、筋肉の軟化原因とはなりえないものと推察された。 一方、筋肉の軟化過程における微細構造の変化を、アルカリ浸漬処理後走査型電子顕微鏡で観察したところ、軟化速度の速いマイワシでは筋細胞間に存在し、おもにコラ-ゲンからなる結合組織の網状構造がほどけてゆく様子が認められた。さらに透過型電子顕微鏡で詳しく観察すると、コラ-ゲン線維の三次元構造の崩壊が明瞭に示された。これは軟化速度の違いは、筋肉細胞を相互に接着している結合組織の構造的差異に起因することを示唆している。
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