研究概要 |
沖縄産の海洋生物を材料として、哺乳動物の細胞内情報伝達系において重要な役割を果している蛋白質の機能を、特異的に増強もしくは抑制する物質(モデュレ-タ-)を探索し、新しい化学構造をもつモデュレ-タ-をいくつか見出すことに成功した。群体ボヤ<Eudistoma>___ー cf.<rigida>___ーより、カルモデュリン阻害作用を示す新規アルカロイドとしてRigidinを単離しその構造を明らかにした。ホスホジエステラ-ゼを用いたRigidinのカルモデュリン阻害活性は、IC_<50>=3x10^<-5>Mであった。また同種のホヤより単離した新規24員環マクロリドであるIejimalide CとDは、既に研究代表者がプロティンキナ-ゼCの活性化作用を見出しているIejimalide Aと同一のマクロリド構造を有しており、同様の活性を示すことが期待されるので、現在この活性の有無を検討中である。別種の群体ボヤ<Eudistoma glaucus>___ーより、3種の新規βーカルボリン化合物を単離、構造決定したが、それぞれに興味深い活性が認められた。即ち、Eudistomidin BにはアクトミオシンATPア-ゼ活性化作用(3x10^<-5>Mで193%まで活性増強)、Eudistomidin Cにはカルモデュリン阻害作用(IC_<50>=3x10^<-5>M)、Eudistomidin Dには筋小胞体カルシウム遊離促進作用(カフェインの10倍の強さ)がそれぞれ見出された。さらに海綿<Agelas>___ー sp.より、アクトミオシンATPア-ゼを活性化する3種のブロモピロ-ルアルカロイドとしてAgeliferin,Bromoageliferin,Dibromoageliferinを単離した。これらの化合物は3x10^<-5>、10^<-6>Mの濃度でアクトミオシンATPア-ゼの活性を、それぞれ150、190、200%まで活性化することが明かとなった。これらの化合物の作用機序についてさらに検討中である。
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