研究概要 |
キラルαーおよびβーヒドロキシアセチレン単位は水酸基の持つキラリティ-をアセチレン結合の持つ機能性によって多様に多中心に伝達し得る可能性を持つ.この様な観点からまず優れた合成法の少ないαーヒドロキシアセチレン単位のエナンチオ制御下の合成法の確立をまず検討した.その結果,アリルアルコ-ル体への香月ーシャ-プレス不斉エポキシ化による不斉導入を経て得たクロロメチエポキシド体がοーブチルリチウムによって二重脱離反応を起こし好収率でαーヒドロキシアセチレン体を形成することを見出した.本法は2級はもとより従来困難であった3級キラル水酸基を持つαーアセチレンアルコ-ル類の合成を初めて可能にした.一方,βーヒドロキシアセチレン単位の合成はα体に比し容易であるが,末端アセチレン体の内部転位によるαーヒドロキシプロピン単位への変換法を確立し,さらにキラルοーベンジルグリンド-ルとの縮合,続く部分還元あるいはキュプレ-ト試薬の立体選択的付加を経てα,βー不飽和δーラクトン体とし,これに対する14ー付加を検討した結果完全な立体選択性で付加が起こることを見出し,グリシド-ル素子のキラリティ-をβ位に反映させる手法を確立した. これらの手法を独立にあるいは組み合わせることによってメバロン酸ラクトンの両対掌体,コンパクチンラクトン,シトロネラ-ル,ヒドロファルネソ-ル,フィト-ル,芳香族ビサボランセスキテルペン類,ビタミンE(αートコフェロ-ル)などテルペン前駆体からジテルペン類に到るテルペン類を中心とする一般的エナンチオ制御合成法を確立することが出来た.
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