研究概要 |
本年度は、4ーシリロキシー及び4ーベンジロキシーチアン、ーチアンー1ーオキシド、ーチアンー1、1ージオキシド、並びにージヒドロチイン類のダイナミック^1H‐及び ^<13>CーNMR分析によるコンホメ-ション解析について詳細に研究した。その結果、チアン誘導体においては、ー80〜ー90℃で4位RO置換基エカトリアル(eqと略)配置コンホ-マの優先性(47〜89%)が観察された。その優先性には、RO基の酸素原子上の電子密度が大きく寄与していることがあきらかにされ、R基がSiMe_3>CH_2Ph>TBDMS>TBDPSの順位でRO基eq配置コンホ-マの存在率が減少している。4位RO置換チアンー1ーオキシド体におけるeqコンホ-マ:アキシアル(axと略)コンホ-マ比は、シス型とトランス型で全く異なり、トランス型の場合はRO基の種類にかかわらず、11:89〜2:98という圧倒的なaxコンホ-マ優先性を示した。シス型におけるeq:ax比は55:45〜33:67の値を示した。4位RO置換チアンー1,1ージオキシド体ではトランス型チアンー1ーオキシド体の場合と同様に95〜98%のaxコンホ-マ優先性を採用していることが明らかとなった。ジヒドロチイン誘導体の場合は、チアン類の場合と異なり、チインー1,1ージオキシド体と同様にシュ-ドaxコンホ-マが極めて有利(98%)に存在していることが明らかとなった。上述のごとき、各種含硫黄6員環上の4位RO置換基axコンホ-マ優先性に対する合理的な解釈として、我々は、6員環内の電子吸引基(SO、SO_2)によって惹起された、3、5位axCーHσ軌道と4位CーO軌道との相互作用による4位RO基axコンホ-マの安定化という新しい仮設を提唱した。但し、ジヒドロチイン誘導体におけるRO基axコンホ-マ優先性は、C=CπとCーOσ^*軌道相互作用による安定化と理解している。
|