研究概要 |
アレニルエ-テルの分子内環状反応に関して基礎的な研究を踏まえ,3環性ラクトンの極めて効率的な合成法を見出した。さらに,この戦略法を光学活性フォルスコリンの全合成経路に組み込み,その全合成を達成することができた。 原料のアルコ-ル体は,αーヨノンから4段階で合成した。こゝで得られたアルコ-ル体をプロパルギル化し,ついで塩基性条件下で処理したところ,予想通り容易に付加体が得られた。次に,水和,酸化によりラクトン体を得た。一方,付加体の水加,メタノ-ル付加により得られたヘミケタ-ル体をハイドロボレ-ションに付し,ついで酸化によりケトン体とした。こゝで得たケトン体を塩基処理によりエピメソ化し,所望のトランス縮環型に変化させ,フェニルセレニル化一酸化によりエノン体を単離した。エノン体に対し,グリニヤ-ル試薬により1,4ー付加によりメチル体となし,最後に酸接触により有用中間体のラクトン体を得ることに成功した。尚本品はmcp166ー167℃,[α]^<27>_Dー37,4゚を示しCareyらの報告とよく一致している。本研究の成果に引き続き,海綿成分のシストリケントリンβの光学活性体の合成に応用し検討を加えた。
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