研究課題/領域番号 |
02453144
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮嶋 孝一郎 京都大学, 薬学部, 教授 (30025689)
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研究分担者 |
松崎 勝巳 京都大学, 薬学部, 助手 (00201773)
半田 哲郎 京都大学, 薬学部, 助教授 (00025719)
藤井 信孝 京都大学, 薬学部, 教授 (60109014)
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キーワード | マガイニン / タチプレシン / ヒペルシン / トリコポリン / 脂質膜 / 膜透過性 / コンホメ-ション |
研究概要 |
各種抗生ペプチドと脂質膜との相互作用を膜透過性変化、ペプチドおよび脂質のコンホメ-ション変化の観点から、蛍光法、CD法、FTIR法、DSC法によって研究し、以下の知見を得た。1.両親媒性のマガイニンは酸性リン脂質とのみ選択的に相互作用し、両親媒性へリックスを形成して、膜透過性を上げる。膜への結合には静電的相互作用が重要で、膜表面の負荷電密度や媒質イオン強度に強く依存する。また、ペプチドが膜構造を乱す力は、全般に弱く、また、膜の流動性に支配され、固い膜ほど透過性変化が起きにくい。2.両親媒性のタチプレシンは、酸性リン脂質に強く結合して膜透過性を上げるが、中性リン脂質には作用しない。結合したタキプレシンのトリプトファン残基は、疎水的環境にあり、水とほとんど接触していないが、比較的膜表面に近い部分にある。3.3種のトリプトファン置換マガイニンは、酸性リン脂質膜への同等の結合性を示した。また、膜中ではペプチド同志が会合している可能性が示唆された。さらに、膜への結合に伴ってトリプトファン残基は疎水的環境に置かれる。4.疎水性のヒペルシンは、粒径20nmの小さな膜の融合を起こすが、100nmの膜では融合を起こさない。また、ペプチドによる膜透過性の変化は、融合とは別の現象である。5.疎水性のトリコポリンは、ヘリックス構造をとって中性リン脂質膜に結合し、膜透過性変化を惹起するが、結合性や膜を乱す力は、ヒペルシンに比べて弱い。また、膜に結合するとゲル-液晶の相変化を消失させる。今後は、各ペプチドの膜中での配向を中心に、FTIRを用いて研究してゆく予定である。
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