研究概要 |
高速液体クロマトグラフィ-は汎用分析機器として目覚しい発展を逐げているが,それに使われる充填剤に関してはまだ改善の余地を残しており、高選択的な機能の付与が望まれている。従来一般に万能的機能を持つかのように誤認されているきらいがあるオクタデシルリシルカラム(ODS)よりもより高い機能性をシリカゲルに付与させることを目的として本研究を行なった。まず3種のシリカゲル充填剤{(3ーモルホリノプロピル)ー,〔3ー(1ーピペラジニル)プロピル〕ーおよび(3ーピペリジノプロピル)シリルシリカゲル(MPS,PZS,PDS)}を新規に調製し,水溶性物質を水系溶離系のみで分離分析を行なうことの可能性を詳細に検討した。充填剤の調製は粒系5μmのシリカゲル(ダイソ-ゲル)の120,200,300および1000A^^°のものに対して夫々相当するシリル化剤を用いてトルエン還流下に化学修飾を行なった。元素分析値から120A^^°のものが他の大口径のものより修飾率がよいことが判った。以下の実験では120A^^°のものを用いた。水溶性物質として典型的な水溶性ビタミン類を取り上げ6種類(アスコルビン酸,ニコチン酸,塩酸チアミン,塩酸ピリドキシン,酢酸ヒドロキソコバラミン,フラビンアデニンジヌクレオチド)の混合物の分析〔ゲル:MPS,流速:1.0mL/min,検出波長:270nm,溶離液:0.1Mりん酸緩衝液(pH6.0)〕を行なった結果,十数分内に完全に分離できた。他のゲル(PZS,PDS)を用いた場合,特定のビタミンのみを精度よく分析するのに適していることが示された。実試料の分析として数種の市販健康ドリンク剤の分析・定量をビタミンおよびカフェインについて行なうことができた。現在さらなる応用として目薬成分やうま味成分(イノシン酸他)の分離・定量に成功しており,論文としてとりまとめ中である。
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