研究概要 |
タンパク質(Cap Binding Protein,CBP)の生化学的および構造化学性質を明らかにすると共に、mRNAキャップ構造との特異的な認識機構を分子レベルで解明することを目的として、本年度はそのCBPタンパク質を多量に得るためにCBP遺伝子の化学合成とそのベクタ-の構築および大腸菌による発現を試み、その大量発現に成功した。即ち、CBP遺伝子の塩基配列のfragmentation,そのsynthesizerによる化学合成,各fragmantのligation,構築したCBP遺伝子のpBR322ベクタ-への組み込み,ヒト成長ホルモンとの融合タンパク質遺伝子の作成,次いでこれの大腸菌H10株のIrpプロモ-タ-支配下の発現用プラスミドへの組込みを行った。このようにして調整した大腸菌を用いて、3ーインドールアクリル酸処理により融合タンパク質としてCBPを発現させた。次いでαーthrombinを用いて部位特異的切断を行い、目的のCBPタンパク質を融合タンパク質から切り離した。 以上のようにして発現させたタンパク質は一連のカラムクロマトグラファ-を駆使して精製した。ついで調整したこのタンパく質が目的とするCBPタンパク質であるかの確認はゲルクロマトグラフィ-により分子量決定,アミノ酸分析および自動アミノ酸配列解析装置を用いて行った。現在、純粋なCBPタンパク質を約100mg得ている。一方、CBPタンパク質のアミノ酸配列からmRNAキャップ構造認識に重要に関与する活性サイトを一連のモデル実験を基に推定した。現在、このことを確認し認識機構を解明するために、各種アミノ酸残基を変換したCBPタンパク質をカセット変換体法により調整中である。
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