研究課題/領域番号 |
02453151
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高木 俊夫 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (00029943)
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研究分担者 |
佐藤 衛 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (60170784)
亀山 啓一 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (60177607)
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キーワード | ヒトB型肝炎 / ワクチン / 光散乱 / X線小角散乱 / 遺伝子操作 |
研究概要 |
死菌・弱毒化ウイルスに代わって、遺伝子操作により安全なワクチンが作られようとしている。この方式による最初の成功例である酵母産生のヒトB型肝炎ウイルス表面抗原(yHBs)ワクチンは球状粒子として得られる点において特に今後のワクチン開発の先行例として注目されている。本研究は、B型肝炎ウイルスの表面抗原と脂質からなる高次の粒子状分子集合体である同ワクチンの粒子としての物理化学的特性と安定性を研究し、同様な構成を持つ他のワクチンに付いての今後の研究にも規範を提供しようとするものである。 本年度においては以下の諸点を明らかにした。(1)モル質量:GPCー低角度光散乱光度法で粒子のモル質量に分布はなく、5300kg/molであり蛋白質部分に限れば3000kg/molである;(2)粒径:動的光散乱測定から粒子サイズの均一性が再確認できた(ワクチン粒子の拡散定数は1.25×10^<-7>cm^2/Sで、これから流体力学的半径は19.5nmと算出された);(3)X線小角散乱:慣性半径は散乱特性曲線のGuinierプロットの勾配から11.9nmそして距離分布関数から12.2nmと算出され、距離分布関数が零となる距離値より最大半径は19.0nmと評価された(距離分布関数は一つの対称でなだらかな山を示し、内部の電子密度分布は均一であることが示された);(4)ポリペプチド鎖の間の架橋:試料としたyHBs抗原は残基数235、分子量26,000のポリペプチド鎖が本体で、オリゴマ-が共存する。 以上の結果を総合すると:(1)酵母産生ヒトB型肝炎ワクチン粒子は、半径19nmと球に近い粒子である;(2)本ポリペプチド鎖は単量体のみではなく、鎖間架橋によって生じたオリゴマ-が共存している;(3)そのサイズから脂質二重膜のが2層存在すると想像されるが、蛋白質がランダムな配置し構造の規則性を欠いていると推定される。
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