1.海洋性細菌Flavobacterium okeanokoitesに存在することが明らかになったスクアレン合成酵素とデヒドロスクアレン合成酵素の精製を、陰イオン交換カラムクロマトグラフィ-を用いて行った。酵素が不安定であったので安定化条件を検討し、エチレングリコ-ルと界面活性剤、ツィ-ン80存在下で両者がかなり安定になることを見出し、その条件で分離を行った。しかしながら純粋な酵素を酵素学的に調べるだけの量を得るには不十分であり、さらに検討を加える必要があることがわかった。 2.細菌にはじめて見出されたスクアレンの存在意義を確かめるためZymomonas mobilisを用いてイソプレノイドの代謝実験を行い、この菌においてはスクアレンからホパノイドの一種である22(29)ーホペンに代謝されることを見出し、農芸化学会誌に報告した。しかしここで調製した無細胞系においてはホパンー22ーオ-ルになる代謝系を検出することはできなかった。菌体には両者が共存している上、生成機構的にも中間体カチオンから両者が得られると予想されるのでアルコ-ル体が得られない理由が不明であり、さらに検討を加えている。 3.デヒドロスクアレンの代謝を検討するため、放射性の同化合物を調製し、その運命を追究した。しかし基質自身が不安定であり、脂溶性であるため酵素反応条件の設定が困難であり、酵素的に代謝産物を得るところまでには至っていない。そこでこれらの酵素の機能を遺伝子の立場から検討するため大腸菌のファルネシルニリン酸合成酵素のクロ-ニングとシ-クエンスを行った。その結果フィトエン合成酵素と相同性の高い部分が見つかり、これを手がかりにデヒドロスクアレン合成酵素の遺伝子のハイブリバイズを行い、遺伝子の立場から反応の特異性を追究する予定である。
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