大腸菌のファルネシル二リン酸合成酵素の遺伝子ispAのクロ-ニングに成功し大腸菌の酵素系を他の酵素と比較できるようになった。 海洋性細菌 Flavobacterium okeanokoitesを海水を含まない培地で培養し、細胞を破砕した。ストレプトマイシンにより除核酸を行った後グリセロ-ル存在下これをイオン交換カラムクロマトグラフィ-により精製し、放射性のファルネシル二リン酸を基質として酵素反応を行なったところ、2つの酵素活性を検出した。生成物を分析したところデヒドロスクアレンであったが、反応を補酵素NADPH存在下に行なうと前の画分の生成物はスクアレンであることがわかった。以上のことからこの菌にはデヒドロスクアレン合成酵素とスクアレン合成酵素が存在することがわかった。 細菌にはこれまでスクアレンは存在せず従ってその合成酵素の存在は全く知られていなかったが、初めてその存在を酵素的に証明した。精製時の安定化に界面活性剤が必要であることがわかり、44倍にまで精製したがそれ以上の精製を行なうと活性が低下し、膜酵素的性質をもっている事がわかった。 新規酵素であるデヒドロスクアレン合成酵素を45倍にまで精製した。ファルネシル二リン酸に対するKm値は0.04μMであった。 これらの酵素によって得られるデヒドロスクアレンはアポカロテンに代謝されると予想されたが、前駆体として放射性デヒドロスクアレンを調製して代謝実験を行なったが基質自身が不安定でありはっきりした結論には至らなかった。 一方、スクアレンの運命をZymomonas mobilis菌を用いて調べたところホパノイドに代謝されることがわかった。
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