研究課題/領域番号 |
02453157
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生体物性学
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
北川 禎三 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (40029955)
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研究分担者 |
加茂川 恵司 岡崎国立共同研究機構, 分子科学会究所, 助手 (40150057)
小倉 尚志 岡崎国立共同研究機構, 分子科学会究所, 助手 (70183770)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | ヘモグロビン / チトクロム酸化酵素 / 時間分解共鳴ラマン / 紫外共鳴ラマン / プロトン輸送 / 電子伝達 |
研究概要 |
タンパク質によるプロトン輸送は、プロトン脱着機能をもつアミノ酸残基のpKa変化によるプロトン脱着にもとづく可能性が高い。そこで本研究では、時間分解紫外共鳴ラマン測定装置に改良を加え、タンパク質高次構造ダイナミックがプロトンの脱着によりどう変化するかを調べた。材料にヒトヘモグロビンを用い、その一酸化炭素化合物をレ-ザ-光で光解離させてdeoxy形に移る過程がpH5.8と7.4でどのように異なるかを、波長218nm,パルス幅10nsのレ-ザ-光励起によるラマン散乱で調べた。ヘモグロビンのボ-ア効果により、COやO_2等のリガンド結合がプロトン解離を引き起こすことはよく知られているが、今回β37位トリプトファンのラマン線強度を光解離後の時間の関数としてプロットしたところ、ボ-アプロトンの解離したpH7.4では解離後5〜20μsで強度が変化するのに対し、ボ-アプロトンの結合したpH5.8では10μsで変化は完了していた。1個のプロトンの結合がタンパク質のダイナミックスを非常に大きく変える具体例をヘモグロビンの4次構造変化に見つけたことになる。一方、ミトコンドリア電子伝達系の末端にあるチトクロム酸化酵素のプロトン輸送/電子移動のカップリング機構を時間分解共鳴ラマン分光法で調べてきたが、本年度は新たなブレ-クスル-を作った。電子受容体である酸素分子に2電子目が伝達されたときの中間体を初めてラマン分光的に同定することに成功し、それがFeーOーOーH構造をとることを同位体シフトの観測により明らかにした。これまでそのような構造をもつ中間体は存在しないと考えられてきた故に、我々の研究結果はこの分野の大部分の人達の考え方を変えさせることになった。また4電子目が伝達されたときにFeーOHヘムができることをFeーOH伸縮振動のラマン線の観測により確認した。O_2の還元に必要な4電子の伝達時間が本研究で明らかとなったので、次に各段階で輸送されるプロトン数を決める。
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