研究課題/領域番号 |
02454003
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
沢田 信一 弘前大学, 理学部, 教授 (70106839)
|
研究分担者 |
荒川 修 弘前大学, 農学部, 助手 (70184265)
斎藤 宗勝 盛岡大学, 短期大学部, 助教授 (70133254)
|
キーワード | 光合成 / source / sink機構 / 物質生産過程 / 環境要因 |
研究概要 |
1.生物環境調節装置(コイトトロン)を用いた実験 光周性研究に広く用いられているアサガオ(品種、ムラサキ)を日長処理によって栄養成長期間と生殖成長期間の長さを変え、また、日長時間の長さをかえてsource/sink能のバランスを変えた。 連続長日条件(16時間、明期)下で栄養成長を続けさせたアサガオに比べ、生育開始時に2回の短日処理を行いよりは早く生殖成長状態にして長日条件下で生育させたアサガオでは花芽形成が生じ、光合成能はより高く維持された。また、連続短日条件(8時間、明期)で生育させたものでは、花芽形成がより早く生じ、光合成時間が半分に短縮されているのにも関わらず、乾重成長速度は連続長日条件下で生育させたものに近い値であった。 この短日条件下での高い成長速度はより多くの同化産物の花芽成と葉形成への分配と、より高い葉面積成長とより高い面積当りの光合成速度に基ずいていた。以上の実験に於て得られた葉面積重と面積当りの光合成速度との間には高い負の相関関係が認められた。これらの結果から、連続長日条件下で栄養成長期にあるアサガオではsink limit状態に、短日条件下で生殖成長期にあるアサガオではよりsource limit状態にあること、短日処理後に長日条件下に置かれたアサガオは前二者の中間状態にあると判断された。 2.ほ場での実験 昨年度と同様に、ダイズ2品種を孤立個体及び高密度群落状態で生育させ、source/sink能のバランスを変えた。今年度の実験では、昨年度よりもsource/sink能のバランスをより顕著に変化させる為に栽培密度について再検討を行った。 その結果、今年度の実験では孤立個体の光合成能は高密度群落状態の個体に比べ35ー40%低下し、従って、昨年度よりも大きな光合成能の低下が認められた。また、葉重/葉面積、非光合成器官重/光合成器官重そして光合成能と葉のsucrose含量との間の負の相関関係については昨年度と同様な結果が得られた。従って、ダイズ植物では孤立個体で生育させた場合には群落状態で生育させた場合に比べてsink limit状態になることがこの2年間の実験で確認された。 今後の実験計画 昨年度及び今年度の実験結果で認められたIntact植物に於けるsource/sink能のバランスの変化が我々がモデル植物において認めているsource/sink能の調節機構と同じであるかについて確認する必要がある。このために、HPLCによるRuBP定量方法とRuBPcase活性定方法について準備を進めている。
|