• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1992 年度 実績報告書

植物細胞における原形質流動のカルシウムによる制御

研究課題

研究課題/領域番号 02454008
研究機関姫路工業大学

研究代表者

新免 輝男  姫路工業大学, 理学部, 教授 (80114510)

キーワード原形質流動 / アクトミオシン / テッポウユリ / 花粉管 / カルシウム / ATPase
研究概要

植物細胞内において見られる原形質流動にはアクトミオシン系が関与しており、カルシウムにより抑制性の制御を受けることが知られている。原形質流動のカルシウム制御の機構は主として車軸藻を用いて行われてきた。しかしながら車軸藻は生理学的な研究には適しているが、生化学的な研究には適していない。このため、本研究では材料をテッポウユリの花粉管に変えて、ミオシンを単離し、原形質流動のカルシウム制御の機構を分子レベルで明らかにすることを目的としている。
本年度の研究においては、テッポウユリの花粉管からミオシンを単離することに成功した。花粉管を低イオン強度の液中で破砕し、ニワトリ胸筋のアクチンとの共沈、ハイドロキシアパタイトカラムおよびゲルろ過によって段階的に純化を進めた。SDS-PAGEによって調べたところ、このミオシンは分化量7万の重鎖を含むことが分かった。さらに、この重鎖に対する抗体を作製することに成功した。この抗体を用い、花粉管の粗抽出液のイミュノブロットを行なったところ分子量17万の成分のみが反応した。このことは17万の重鎖は単離過程においてタンパク質分解酵素による部分分解を受けておらず、花粉管に本来含まれているものであることを示す。このミオシンのATPase活性はニワトリ胸筋のアクチンによって60倍の活性化を受けた。このミオシンをカバーガラス表面に固定し、蛍光標識されたアクチンフィラメントをMg-ATPと共に加えると、アクチンフィラメントはカバーガラス表面を毎秒7.7μmの速度で滑り運動を行なった。この速度は花粉管内で見られる原形質流動の速度にほぼ等しい。このことは17万の重鎖を含むミオシンが原形質流動の力発生に関与していることを示す。以後、このミオシンを用いて、そのカルシウムによる制御機構を調べる予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] K.Kohama,T.Kohno,K.Hayakawa,Y.Lin,T.Shimmen,A.Inoue R.Ishikawa: "A novel regulatory effect of myosin light chain kinase from smooth muscle on the ATP-dependent interraction between actin and myosin." Biochem.Biopys.Comm.184. 1204-1211 (1992)

  • [文献書誌] T.Shimmen: "The characean cytoskeleton:Dissecting the streaming mechanism." In “The Cytoskeleton of the algae",CRC Press.ED.D.Menzel. 297-314 (1992)

  • [文献書誌] T.Shimmen: "Mechanisms of the cytoplasmic streaming and amoeboid movement." In “Molecular and Cellular Aspects of Muscle Conraction and Cell Motility",Springer-Verlag.Ed.H.Sugi. 12. 172-205 (1992)

  • [文献書誌] T.Kohno,R.Ishikawa,T.Nagata,K.Kohama,T.Shimmen: "Partial purification of myosin from liliy pollen tubes by monitoring with in vito motility assay." Protoplasma. 170. 77-85 (1992)

  • [文献書誌] H.Yamashita,S.Sugiura,T.Serizawa,T.Sugimoto,M.Iizuka,E.Katayama,T.Shimmen: "Sliding velocity of isolated rabbit cardac myosin corrlates with isozyme distribution." Am.J.Physiol.263. H464-H472 (1992)

  • [文献書誌] S.Sugiura,H.Yamashita,T.Serizawa,M.Iizuka,T.Shimmen,T.Sugimoto: "Active movemant of cardiac myosin on Characeae actin cables." Pflugers Arch European Journal of Physiology.421. 32-36 (1992)

  • [文献書誌] 新免 輝男: "細胞の運動" 裳華房, 141 (1992)

  • [文献書誌] 新免 輝男: "細胞の生物学" 岩波書店, 180 (1993)

URL: 

公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi