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1990 年度 実績報告書

酵母及び植物における自食作用の誘導機構とその生理的役割の解析

研究課題

研究課題/領域番号 02454009
研究機関東京大学

研究代表者

大隅 良典  東京大学, 教養学部, 助教授 (30114416)

キーワード酵母 / タンパク質分解 / 液胞 / 自食作用 / 自食胞 / 細胞周期
研究概要

従来、液胞における細胞内分解の機構に関する研究は皆無に等しい。本研究課題はその総合的理解を目指しており、平成2年度には、液胞内プロテア-ゼ欠損株を用いて以下の興味深い知見を得た。(1)、栄養培地に生育させたプロテア-ゼ欠損株を窒素源・要求アミノ酸、炭素源の飢餓条件下に培養を続けると、数十分後に液胞内に約0.5μm程度の球型の構造が現われ、その数が次第に増し数時間後には液胞内をほぼ完全に満す。(2)、電子顕微鏡による解析からこれらの構造体は、細胞質を一重の単位膜が取囲んだ構造を有することが明らかとなり、これを自食作用体(autophagic body)と名付けた。(3)、自食作用体に含まれるものは、リボソ-ム、ER,ミトコンドリア、分泌小胞、グリコ-ゲン顆粒など細胞質ゾル中の構造を非撰択的に取り囲んでいるものであった。(4).プロテア-ゼ欠損株が飢餓条件下で細胞周期を任意の位置で停止しGL期まで進行出来ないことから、液胞内での自食作用による分解がタンパク質・核酸前駆体の主要な供給経路であることが推論される。(5).飢餓状態の細胞質中に細胞質を二重膜で取り囲んだ自食胞が形成され、その外膜が液胞膜と融合することにより自食作用体を生じることを明らかにした。これは高等生物で知られる自食作用と基本的に同じ機構を酵母が有していることを示している。(6)、液胞内に自食作用体を蓄積するために必要な遺伝的欠損はプロディナ-ゼB(PrB)であることが遺伝解析の結果明らかとなった。(7)、野生株にセリンプロテア-ゼ阻害剤を添加し上記の飢餓条件にさらすと、全く同様の自食作用体の液胞内への蓄積が認められた。このことは自食作用が酵母の有する一般的な生理活性であることを示している。以上の成果は現在2報の原著論文として、J.Cell Biologyに投稿中である。現在自食作用を誘導する条件、自食胞形成の機序の解明を進めている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] K.Takeshige: "Autophagy in yeast:Its Detection using ProteinaseーDificient Mutants and Conditions its Induction" J.Cell Biol.

  • [文献書誌] M.Baba: "Autophagy in yeast:Ultrastructural Evidence and Analysis of the Autophagic Process" J.Cell Biol.

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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