脂肪性種子の子葉組織では、光照射によりマイクロボディの機能転換(グリオキシゾームから緑葉パーオキシゾーム)が観察される。グリオキシゾームおよび緑葉パーオキシゾームそれぞれに特異的な酵素の特異抗体およびcDNAを用いた解析から、以下の調節機構が働いていることが明かとなった。 1.光照射により、緑葉パーオキシゾーム酵素が誘導されてくるが、この誘導はその酵素のmRNAの光照射による出現、増大に起因している。 2.光照射によるグリオキシゾーム酵素の減少消失は、その酵素のmRNA量の減少消失とともに、光照射によりグリオキシゾーム酵素の分解系がマイクロボディ内に誘導されることに起因している。 一方、緑化子葉がその後セネッセンスしていく際に、再びグリオキシゾームが誘導されてくることが判明した。この事実は、子葉組織において、光照射によるマイクロボディの機能変換と全く逆の機能転換(緑葉パーオキシゾームからグリオキシゾーム)がそのセネッセンスの時期に生じることを示しており、このマイクロボディの機能転換が、可逆的であることを示している。このセネッセンス時におけるグリオキシゾーム酵素の誘導は、それらのmRNAの量に対応しており、それらの遺伝子の発現のレベルで調節されている。セネッセンス時の従来とは逆のマイクロボディの機能変換に、光照射時と同様の調節機構が働いているか否かは今後に残された課題である。
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