光化学系II反応中心の分子構築とその動態の研究

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02454013
• 研究機関: 岡山大学
• 研究代表者: 佐藤 公行 岡山大学, 理学部, 教授 (10032822)
• 研究分担者: 高橋 裕一郎 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (50183447) ; 山本 泰 岡山大学, 理学部, 助教授 (40091251)
• キーワード: 光合成 / 光化学反応中心 / 光化学系II / D1蛋白質 / 蛋白合成 / 翻訳制御 / Cー末プロセシング / クロロフィル

研究概要

I光化学系II反応中心複合体調製方法の改良と純化された標品の諸性質の解析
(1)純化方法の改良
葉緑体チラコイド膜のTritonXー100処理により光化学系II反応中心を抽出して、従来の方法で組精製した後、活面性剤をジギトニンに置換してQAEーToyo pearlを用いるEPLCを行うことにより、均質で高純度の標品を再現性よく調製できるようにした。
(2)色素および蛋白組成の決定
上記の標品のアミノ酸分析に基き、これがD1蛋白質、D2蛋白質、シトクロム6559およびpsbI遺伝子産物を、1:1:1:1の割合で含むことを明らかにした。また、順相HPLC分析および分光学的分析から、光化学的に活性なフェチン1分子当り、化学的に測定されるフェオフィチン2分子、クロロフィルa__ー6分子、βーカロチン2分子が含まれていることを明らかにした。
(3)キノンの再構成
この標品に外部からキノン類を添加し、DBMIBその他のキノンが第一次キノン受容体(Q_A)類以の機能を回復することを明らかにした。
IID1蛋白質の代謝回転の機構の解析
(1)チコライド膜よりトリトンXー100で可溶化されるD1蛋白質のCー末プロセシングに関与する酵素を、イオン交換、ビドロオキシアパタイト、金属キレート、ゲル濾過(HPLC)等のクロマトにかけることにより、分子容約45kDaのポリペプチドよりなる成分として精製することに成功した。
(2)単離葉緑体によるD1蛋白質合成の光による制御機構を解析して、葉緑体ストロマのATPレベルがkey tactorであることを示した。

研究成果

• [文献書誌] Y.Takahashi,K.Satoh and S.Itoh: "Silicomolybdate substitutes for the function of primary electron acceptor and stabilizes charge separtion in the photosystem II reaction center complex" FEBS Lett.255. 133-138 (1989)
• [文献書誌] S.Fujita,N.Inagaki,T.Ono,Y.Inoue and K.Satoh: "Cleavage of a synthetic COOHーterminal oligopeptide D1 precursor protein by a purified processing enzyme" FEBS Lett.255. 1-4 (1989)
• [文献書誌] K.Satoh,O.Hansson and P.Mathis: "Charge recombination between stabilized Pー680^+ and reduced cytochrome bー559 in quinoneーreconstituted PSII reaction center" Biochim.Biophys.Acta. 1016. 121-126 (1990)
• [文献書誌] Y.Takahashi,H.Nakane,H.Kojima and K.Satoh: "Chromatographic purification and determination of the Carboxy terminal sequences of photosystem II reaction center Protein D1 and D2" Plant & Cell Physiol.31. 273-280 (1990)
• [文献書誌] M.Kobayashi,H.Maeda,T.Watanabe,H.Nakane and K.Satoh: "Chlorophyll a and βーcarotene content in the D_1/D_2/cytochrome bー559 reaction center complex from spinach" FEBS Lett.260. 138-140 (1990)
• [文献書誌] X.ーS.Tang,K.Fushimi and K.Satch: "D1ーD2 complex of the photosystem II reaction center from spinach;Isolation and characterization" FEBS Lett.273. 257-260 (1990)