研究概要 |
初年度はシダフィトクロムとDNAの単離と,その塩基配列の部分的解読を行ったが,本年度は,さらに塩基配列の解読を進めるとともに,このcDNAを使用し,フィトクロム遺伝子の種数の解折,抗体作成のための,人工合成ポリペプチドの作成,大腸菌内での融合タンパク質の合成を行った。 シダフィトクロムcDNAの塩基配列は蛍光シ-クエンサ-を使用して行いほゞ全領域を解読した。残すところわずかの解読中である。 フイトクロムは高等植物では単一種中に複数あり,それぞれ異なる作用を持つと考えられている。そこでシダ植物中に何種類の分子種があるかをホウライシダ2n組織から得られたDNAを各種の制限酵素を使用して切断し,サザンハイブリダイゼ-ション法により推定することを試みた。cDNA中に認識部位のないBamHIとXhoIにより切断したDNA断片では,シダcDNApFP1の強いバンドが一本と,他に非常にうすいバンドが1〜2本見られた。現在この結果の追実験を進行中であるが,少なくとも2種類以上の分子種が存在する可能性が高い。 抗体作製のためには,本研究で得られた塩基配列の結果から,フィトクロム分子のうち外側に位置し抗原エピト-プとして働き得ると思われる部分を3ケ所選び出し,15アミノ酸からなる人工合成ポリペプチドを作った。親水性のポリペプチドである。一方cDNA全領域について,抗原用のアポ蛋白を作成するため,バクテリア内でフェ-ジョンプロティンを生成させたが収量が少なく,現在続行中である。後者によるモノクロナル抗体の作成と,前者によるスクリ-ニングにより,エピト-プの確定した抗体の産製を行う。現在細胞骨格系の抗体による染色技術の収得も終り,抗体の作成を待っている。
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