研究課題/領域番号 |
02454015
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長田 敏行 東京大学, 理学部, 教授 (10012519)
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研究分担者 |
高橋 陽介 東京大学, 理学部, 助手 (90183855)
網野 真一 東京大学, 理学部, 助手 (30191860)
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キーワード | オ-キシン / 植物ホルモン / 遺伝子発現 / グルタチオン Sートランスフェラ-ゼ / 転写制御 / 細胞周期 / 細胞骨格 / 細胞培養 |
研究概要 |
タバコ葉肉プロトプラストは、適当な条件で培養すると細胞周期のGoーS期の転換をとげるが、この変化に際してオ-キシンは重要な役割を果している。そこでオ-キシンにより誘導される遺伝子を追跡したところ、これまでparAが単離されていたが、新たにparB,parCを単離することができた。単離されたparBの塩基配列を決定したところトウモロコシのグルタチオンSートランスフェラ-ゼIII(GST)とホモロジ-が見られた。そこで翻訳領域を大腸菌の発現ベクタ-へ導入したところ発現産物は実際にGSTの酵素活性を示したが、これはオ-キシンで誘導される遺伝子として機能が同定された初めての例であった。次には、このGSTの役割はなんであるかが重要な課題であるが、動物細胞の腫瘍化のマ-カ-酵素といわれる胎盤型GSTとのホモロジ-は、高等生物の細胞分裂に共通して関わるGSTの役割を予想させた。一方、parCとその後単離されたオ-キシンにより影響を受けない遺伝子Cー7は、いずれも、parAと類縁があり、遺伝子ファミリ-を形成していたが、いずれも大腸菌ので培地よりアミノ酸などを除いたときに見られるStringent Starvation Protein(SSP)とのホモロジ-から遺伝子発現制御における役割を予想させた。この群に属する遺伝子は様々の異なった外的シグナルに対応して発現しているものと思われ、植物細胞での巧みな適応戦略があるものと予想された。なお、この研究において細胞周期に起こる詳細な変化の追跡が重要であるので細胞骨格の追跡も行なったが、いくつかの新しい知見が得られた。従って、今後さらに遺伝子発現制御の因子を解析しオ-キシンの遺伝子発現制御機構に迫る予定である。
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