研究課題/領域番号 |
02454017
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩槻 邦男 東京大学, 理学部, 教授 (10025348)
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研究分担者 |
長谷部 光泰 東京大学, 理学部, 助手 (40237996)
清水 忍 東京大学, 理学部, 教務職員 (50196515)
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キーワード | 日華区系 / シダ植物 / バイオシステマティックス / 細胞分類学 / 分子分類学 / 葉緑体DNA / 比較形態 / 系統 |
研究概要 |
1)Matteuccia intermediaの分類上の位置を決めることはコウヤワラビ群の系統を明らかにする上で重要である。中国・ヒマラヤに分布する本種はこれまでクサソテツとイヌガンソクの種間雑種と考えられていた。乳液突起・葉軸溝の比較形態、染色観察(n=80)および酵素多型分析から、本種は雑種起源種ではなく、イヌガンソクに近縁な種であることがわかった。 2)中国西南部の雲南省のシダ90種について細胞分類学的研究を行なった。その結果、中国産属の既報基本染色体数を確かめたほか、Gymnogrammitis(x=36)とSorolepidium(x=c.35)の基本数を初めて明らかにした。いくつかの種について細胞地理学的研究を行なったところ、中国のシダは日本と比べて多様でしかも始原的であることが分かった。観察した種のなかに3倍体種があったがその大部分は無配生殖種であり、両者に強い相関があることを支持した。薄嚢シダ類は一般に64ー胞子性であるが、ホングウシダ類、キンモウワラビSorolepidium gracialeは32ー胞子性である可能性があり、胞子性の変異が考えられている以上に大きいことが示唆された。 3)シダ植物および種子植物について分子分類学的研究を行ない、次のような結果が得られた。ホウライシダ葉緑体DNAの逆位反復領域における遺伝子地図を作成したところ、被子植物とは非常に異なることが分かった。少なくとも2回の逆位と領域の伸長が起こったと考えられる。rbcL遺伝子の塩基配列比較から、ハナワラビがゼンマイなどシダ類と単系統であることが示された。また、シダとコケは単系統ではないことが支持された。
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