研究概要 |
ウシガエル760個体より総計約1gの鰓後腺を摘出した。それらは-60℃で凍結させたままクラッシャ-で潰した。それを酸抽出の後,67%アセトンで高分子蛋白を除き,99%アセトンで脱脂した後,粗抽出物11.9mgを得た。これを逆相の高速液体クロマトグラフ(HPLC)に分けた。なお,ウシガエルのカルシトニンを含む分画はサケ・カルシトニンの抗体を用いたイムノブロッティング法を用いて確めた。 粗抽出物は2mgとなったが,これを0.1%TFAを含むアセトニトリル溶液で20%から80%のグラジェントを60分間で流し,220mmの吸光度にしてカルシトニンの検出を行った。その結果,カルシトニンの免疫反応はアセトニトリルの濃度で約35%と44%の付近に強いことがわかった。従ってこの2ケ所の画分を再びグラジェントを変えてHPLCに流した。 35%付近の画分を酢酸アンモニウムでpH4.6に調整したアセトニトリル溶液で25%から50%のグラジェントで75分間で流した。又,44%付近の画分は0.1%のTFAを含むアセトニトリル溶液で25%から50%のグラジェントで75分間流した。 その結果,35%付近の画分はピ-クとして立ち上がらず,免疫反応も得られなかった。44%付近の画分は極めて小さなピ-クとして検出され,免疫反応も弱いながらあったが,シ-ケンサ-にかけても,アミノ酸を読むまでには至らなかった。従って,まだウシガエルのカルシトニンの構造を決定するには至っていない。35%,また44%付近の画分の流出速度はヒトやアカエイのカルシトニンのそれに近く,ウシガエルのカルシトニンは生化学的には一部,それらに似ていると判断される。
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