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1991 年度 実績報告書

実験生物学的手法による底生有孔虫類の殻形態の評価

研究課題

研究課題/領域番号 02454028
研究機関静岡大学

研究代表者

北里 洋  静岡大学, 理学部, 助教授 (00115445)

研究分担者 和田 秀樹  静岡大学, 理学部, 助教授 (20126791)
キーワード原生生物 / 底生有孔虫類 / 形態解析 / 機能形態 / 遺伝的変異 / 飼育実験
研究概要

底生有孔虫類の殻形態が持つ生物学的意味を明らかにすることを目的として,個々の環境要素を独立に制御した飼育実験を行った。平成3年度は次のような研究を行った。
(1)粗飼育……有孔虫を実験動物として研究室内に確保するために,日本沿海(静岡の岩礁地,浜名湖,下田湾,相模湾,東北日本太平洋側,薩南海域)より多数の底質試料を採集した。実験室内では温度,塩分濃度・光を制御して有孔虫を底質とともに飼育した。
(2)精密制御飼育……浜名湖産Ammonia beccarii(Linne)forma1を単離し,環境要素を制御しながら飼育した。この種は耐性が大きく,また殻変異も大きいことが知られている。温度・塩分濃度・溶存酸素量を何段階に変えて飼育した結果,A.beccarii forma1は20℃,20‰,4ml/lの条件下でもっとも良く成長した。この種はDOに対する耐性があり,DO=Oの環境でも生き延びている。さまざまなDO条件下における呼吸量を測定したところ,2ml/l以下ではほとんど酸素を消費していなかった。このことは,この種がゴカイと同様に有酸素呼吸系と嫌気呼吸系の2つを持っており,低DO条件では嫌気呼吸をしている可能性があることを示唆している。Ammonia beccarii(Linne)formalの殻形態はDOと強い相関があり,高DOではloboteした殻を,低DOではsmoothな殻を作った。また,壁孔(pore)にも変異が見られ,高DOでは仕切りの入った小さなporeを,低DOでは仕切りのない大きなporeを作った。これらの形態変異は野外でもよく観察され,環境との相関も極めて整合的である。
有孔虫は海の水深とともに住み分けている。水圧に対する耐性を検討するために水圧をかけられる加圧培養装置を購入し,予備実験を行った。本格的な実験は相模湾産深海生有孔虫を用いて平成4年度に行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 北里 洋: "古生物学に何を望むかー飼育実験の重要性ー" 化石. 50号. 32-33 (1991)

  • [文献書誌] Kitazato,Hiroshi: "Pseudopodia of benthic foraminifera and their relationships to the test morphology" Proceedings of Benthos '90.

  • [文献書誌] Kitazato,Hiroshi: "Laboratory investigations of benthic foraminiferal microhabitats" Morine Micropaleontology.

  • [文献書誌] Koshio,Mayumi and Kitazato,Hiroshi: "Experimental study of Ammonia beccarii(Linne) formal" Journal of Foraminiferol Research.

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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