研究課題/領域番号 |
02454032
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
青山 勲 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (10026239)
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研究分担者 |
中島 進 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60033122)
村本 茂樹 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (50033121)
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キーワード | 有害化学物質 / 重金属 / 植物プランクトン / 酵母 / 細胞毒性 / 増殖特性 / 生物学的濃縮 / 相互作用 |
研究概要 |
微生物を用いた有害化学物質(重金属)の毒性試験法を比較検討するために、植物プランクトンと酵母を用いた。実験に用いた植物プランクトンはChlorella ellipsoidea Gernecで、供試した重金属はカドミウム(Cd)とクロミウム(Cr)で、両金属の植物プランクトンの増殖に及ぼす相互作用と、毒性の作用機構を研究するために、生物濃縮について検討した。実験の結果、両金属は生物濃縮の点でも、増殖阻害にみられる毒性の点でも相乗的に作用する事が判明した。つまり、細胞内に取り込まれた一方の金属は他方の金属が培地中に共存する事によって増加し、また増殖阻害も一層強められた。藻細胞をフレンチプレスで破砕し、遠心分離して、各画分毎の重金属濃度を測定した。この結果、Cdの可溶性画分と膜画分中の存在比は、全量に対して、それぞれ50%及び20%であった。これにCrが加わると、両画分中の存在比はともに40%に変化した。両金属が共存することによって、細胞内の濃縮部位の存在比が変化した。 有機水銀は無機水銀に比べて、毒性が強い事が過去に明らかにされてきたが、ここでは2種の有機、4種の無機水銀を用いて、酵母を用いた毒性試験法の可能性を探ると共に、生物濃縮の点からこの問題について検討した。ここでの酵母の毒性評価の指標として生存率と比増殖速度定数を用いた。毒性の強度をEC_<50>値で比較すると有機水銀は無機水銀より約100〜200倍高かった。有機水銀の中でもCH_3HgClの方がCH_3HgOHより毒性が強く、無機水銀では化学形の違い(HgCl_2、HgSO_4、Hg(NO_3)_2、Hg_2(NO_3)_2)による大きな差異は認められなかった。酵母細胞内への水銀の取り込み量を分析し、比較すると、無機水銀より有機水銀の方が100倍異常高い濃縮係数が得られた。これらの事から、有機水銀の毒性の強さは、単に化学形態の違いだけでなく、細胞内への濃縮性の違いも大きく関与している事が推測された。
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