研究概要 |
イネ突然変異誘発遺伝子(mutator)によって誘発された突然変異遺伝子におけるDNA構造の変化を解析するために、まずイネRFLP連鎖地図上の位置が判明しているDNAクロ-ンの中からmutatorによって誘発された突然変異遺伝子と密接に連鎖しているもの探索することにした。このため、平成2年度にはmutatorによって誘発された突然変異遺伝子でかつ座乗染色体の明らかな、濡れ葉ー2(<drpー2>___ー)、頴花および節間黄金色ー2(<ghー2>___ー)、粗穂(<lax>___ー)、たれ葉(<dl>___ー)、輪枝(<ri>___ー)、およびもつれ(<la>___ー)遺伝子を持つ系統とインデイカ品種Kasalathとの交雑F_2を作出した。また、上記6遺伝子の中のたれ葉遺伝子が座乗する染色体3については、互いに密接連鎖する多数の既知DANクロ-ンがあり、これらの中にはたれ葉遺伝子のごく近傍にあるため、原品種とたれ葉突然変異遺伝子系統との間のDAN構造の差異を検出できるものがある可能性が高い。この点を明らかにするため、原品種銀坊主、たれ葉突然変異系統、たれ葉突然変異を誘発した親細粒系統(mutator活性保有系統)の核DNAを4種類の制限酵素EcoRV、Bgl、HindIII、BamHIで消化して、Southern Blotting法により第3染色体上の11個のDNAクロ-ン(gene No.51,55,62,73,74,129,137,144,232,249,369)によって標識される核DNAの位置を観察した。実験の結果、3系統間には、いずれの制限酵素、DNAクロ-ンの組合せにおいても標識される核DNAの位置に差異はなく、用いたDNAクロ-ンの中にはたれ葉突然変異の影響を受けるほど近くにあるものはないと判断された。
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