研究概要 |
高密市街地における居住環境条件の変遷について,東京都区部のうち旧緑地地域に指定されていた地区の中から,その後の用途地域指定のタイプのちがいにもとずく地域類型を行い,6地区を抽出して調査、分折を試みた。基本的には区画整理を積極的に推進すべき地区として位置づけられた地区である。デ-タは1/2500の地図をもとに、土地分類に従った抽出作業、計測によって求めた。分析項目は以下のようである。 (1)緑地地域指定から廃止に至る経過のトレ-ス (2)廃止後の市街化動向(ビルトアップ)の分析 (3)緑被のタイプ毎の安定性の分析 (4)基盤整備手法のちがいがおよぼす緑の残存形態の影響 以上の分析から次のような知見が得られた。 (1)対象地区では区画整理が現在も進行中であり、ア-バンクリンジにおける土地利用規制システムの変換が必らずしも居住環境形成においてプラス側に作用しないことが明らかになった。 (2)区画整理済み地区でも約1/2程度の土地が“現況農地"のまま残存しており、その規模(地片の塊)は小さいもので200m^2〜300m^2のものが散在しており、ビルトアップの進行において整序が必要とされる状況が卓越している。 (3)すでにビルトアップの行われた地区にあっても,用途規制の条件は守られているものの,過密住宅地が形成され,緑の殆んど存在しない敷地が大量に認められ,敷地内空地の緑被条件はますます劣悪になり,しかも存続における不安定工が認められた。 (4)区画整理済地区の低層戸建て住宅の卓越する地区で、すでに中層住宅への転換がみられる部分が顕在的に発生し,再開発と農地の共存という地域景観が固定化してゆく状況が把握された。
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