研究課題/領域番号 |
02454047
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 一 京都大学, 農学部, 教授 (20026397)
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研究分担者 |
柳 五郎 (株)湘南グリーン, サービス, 取締役,研究員
丸山 宏 京都大学, 農学部, 助手 (30157416)
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キーワード | 国立公園 / 国立公園法 / ツ-リズム / 帝国議会 / 都市計画法 / ジャ-ナリズム |
研究概要 |
本年度の研究は主として大正期における国立公園設置運動について、その社会・経済的背景を考察することにあった。資料の収集は国会図書館、東京都立中央図書館、国立公文書館、埼玉県立図書館、大阪府立中之島図書館、京都府立総合資料館、神戸大学人文社会学系図書館等において行った。 昭和6年4月に布告された国立公園法の成立過程は両院の帝国議会議事速記録および委員会議録を見ると、一般には大正期においてようやくアメリカ、カナダの国立公園が紹介されたことが理解される。国立公園自体の情報はすでに明治後期には入っていたが、政治の俎上にのぼる契機は経済的問題として認識されたことが大きい。地方振興策における立場から観光資源として、地方における風景に国立公園という国家的な価値を付与しようとすることは、地方の国立公園設置請願の最も大きな理由である。 また、議会だけではなく政府においても大正5年の経済調査会で外客誘致問題が建議され、国家的なツ-リズムへの関心が高まっていた。 帝国議会、政府内部での国立公園問題は大正10年に入ると新聞各社の知るところとなり、それ以降頻繁に国立公園関連の記事を掲載する。また、実際、大正10年から田村剛を中心に各地で国立公園調査が行われ、景勝地を持つ地方は国立公園誘致に力を入れている。東京日日、中央新聞、読売新聞、東京朝日、国民新聞等にはその地方における加熱ぶりが掲載されている。 国立公園法制化には経済的背景が大きかったが、この時期大正8年4月には都市計画法が発布され、都市における公園法の整備が懸案であり公園調査が行われたが、実際は国家経済あるいは世論により国立公園法へ傾斜したと考えられる。
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