研究課題/領域番号 |
02454047
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 一 京都大学, 農学部, 教授 (20026397)
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研究分担者 |
柳 五郎 (株)湘南グリーン, サービス, 研究員
丸山 宏 京都大学, 農学部, 助手 (30157416)
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キーワード | 公園 / 国立公園 / 都市問題 / 大正デモクラシー / 大衆 / 社会 / 観光 |
研究概要 |
本年度は最終年度に当たり、平成2年、3年度の成果の追加調査と、主として社会的事象から公園という存在を検討することを課題とした。いわば公園の社会的受容を念頭においた調査である。 社会的事象の収集のため、とくに新聞・雑誌の記事を中心に収集し、当時の小説・評論・随筆等についても調査をおこなった。また、一般書からの公園の記載の抽出に加え、大正期に創刊された都市問題を扱った雑誌(『都市創作』『都市公論』『都市研究』『大大阪』『庭園』等)の公園に関連する論説をあわせて検討した。 資料の調査収集は国会図書館、東京都立中央図書館、国立公文書館、大阪府立中之島図書館、京都府立総合資料館、名古屋舞鶴中央図書館、名古屋市市政資料館、愛知県図書館等において行った。 新聞記事の公園関係記事からは大正デモクラシーにおける大衆運動の発露の場としての公園の存在が社会史的には特出に値する。また、明治末から大正期にかけて、海外の公園情報も渡航者の見聞記・記事等により流布し、公園がいわば社会化する状況が推察された。その背景には欧米の都市施設・文化を摂取することが近代化であるという見方がある。大正期には行政側からの公園改良を目的とした調査もおこなわれた。また、国家経済的な観点からは大正中期にはじまる国立公園設置運動が各地において大衆的レベルで拡大し、公園が国家経済にまで波及した事実として理解できる。 また、第一次大戦後、帝国主義が拡張・進展するなかで、植民地統治下の朝鮮及び台湾における公園設立の状況にも研究対象をひろげた。 今後の課題として公園の社会化という意味では、公園自体固定的なものではなく社会的ダイナミズムにより変容するものであり、昭和戦前期あるいは現代まで射程に入れる必要があるように思われる。
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